顔や体にできたシミを「そろそろ本気で治療したい!」
そう考えてクリニックのウェブサイトを見ると、
- 「Qスイッチレーザー」
- 「ピコレーザー」
- 「IPL(光治療)」
など、たくさんのレーザーや光治療の名前が出てきませんか?
- 「一体どれが自分のシミに合っているの?」
- 「何がどう違うの?」
と戸惑ってしまうことはありませんか?
美容クリニックで13年間勤務し、多くの患者様のお肌の悩みに向き合ってきた私、誠は、シミの種類によって最適なレーザーが異なることを誰よりもよく知っています。
誤ったレーザーを選択してしまうと、効果が期待できないだけではありません。
かえってシミが悪化したり、新たな肌トラブルを招いてしまうリスクさえあるからです。
今回の記事では、現在主流となっているシミ取りレーザー・光治療の主要な種類を、
- それぞれの特徴
- 得意なシミの種類
- 痛み
- ダウンタイム
- 治療回数
- 費用
について、図解も交えながら徹底的に比較解説します。
あなたがご自身のシミに最適なレーザーの種類を理解し、安心して理想のクリアな肌を手に入れるための「全知識」を包み隠さずお伝えします。
シミ取りレーザー・光治療の主要な種類と特徴
シミ取り治療に用いられる機器は多岐にわたりますが、大きく分けて以下の3つのタイプが主流です。
- Qスイッチレーザー
- ピコレーザー(ピコスポット、ピコトーニング、ピコフラクショナル)
- IPL(光治療)
これらのレーザー・光治療は、それぞれ異なる波長や照射時間(パルス幅)を持ち、得意なシミの種類や肌への作用が異なります。
比較項目 | Qスイッチレーザー | ピコレーザー(ピコスポット) | ピコレーザー(ピコトーニング) | IPL(光治療) |
---|---|---|---|---|
主な特徴 | ナノ秒(10億分の1秒)単位の短いパルスで強い光を照射。 | ピコ秒(1兆分の1秒)単位で超高速照射。衝撃波で色素を破壊。 | 低出力のピコレーザーを顔全体に連続照射。 | 複数の波長を含む光を顔全体に照射。 |
得意なシミ | ・老人性色素斑(濃いシミ) ・そばかす ・ADM(真皮のシミ) | ・老人性色素斑(濃いシミ) ・そばかす ・ADM(真皮のシミ) ・タトゥー、アートメイク | ・肝斑 ・炎症後色素沈着 ・肌全体のトーンアップ ・毛穴の開き | ・老人性色素斑(薄いシミ) ・そばかす ・赤み(毛細血管拡張) ・肌質改善(ハリ、ツヤ) |
痛み | 輪ゴムで弾かれたような痛み(麻酔クリーム併用可) | Qスイッチより少ない痛み(麻酔クリーム併用可) | ほとんど痛みなし | 輪ゴムで弾かれたような軽い痛み |
ダウンタイム | 1週間程度の保護テープ。赤み、色素沈着の可能性。 | 1週間程度の保護テープ。赤み、色素沈着の可能性。 | ほとんどなし(まれに赤み) | ほとんどなし(まれに赤みや薄いかさぶた) |
治療回数 | 1〜数回 | 1〜数回 | 5〜10回以上(継続が重要) | 3〜5回以上(継続が重要) |
費用相場<br>(1回あたり) | 3,000円〜2万円/個<br>(クリニックによる) | 5,000円〜3万円/個<br>(クリニックによる) | 1万円〜3万円/回<br>(顔全体) | 1万円〜4万円/回<br>(顔全体) |
Qスイッチレーザー:濃いシミに効果的

特徴
ナノ秒(10億分の1秒)という非常に短いパルス幅で、高出力のレーザー光を照射します。
メラニン色素に選択的に吸収され、シミの色素を熱で破壊します。
得意なシミ・適応
- 老人性色素斑(日光黒子)やそばかすなど、輪郭がはっきりした濃いシミ
- 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)などの真皮の深いシミ
- あざ(太田母斑、異所性蒙古斑など)
- タトゥー、アートメイク除去
メリット
- 即効性: 濃いシミであれば、1回の治療で目に見える効果が期待できます。
- 高い効果: メラニン色素への反応性が高く、深いシミにもアプローチ可能です。
- 歴史と実績: 長年使用されており、多くの実績があります。
デメリット・注意点
- ダウンタイムがある: 照射部位は一時的に炎症を起こし、かさぶたになります。1週間程度の保護テープが必要です。
- 炎症後色素沈着のリスク: かさぶたが剥がれた後に、一時的にシミが濃くなる「炎症後色素沈着(PIH)」のリスクがあります。これは数ヶ月〜1年程度で薄れることが多いです。
- 肝斑には不向き: 肝斑に高出力で照射すると悪化させるリスクがあります。
ピコレーザー:より繊細で多機能な次世代レーザー
ピコ秒(1兆分の1秒)という極めて短いパルス幅で光を照射します。
熱ではなく「衝撃波(光音響効果)」でメラニン色素を粉砕します。
そのため、肌へのダメージを抑えつつ、より細かく色素を破壊できるのが特徴です。
様々なモードがあり、幅広いシミに対応できます。
主要なピコレーザー機器(ピコシュア、エンライトン、ディスカバリーピコなど)
現在、国内の美容クリニックで主に導入されているピコレーザーには、
ピコシュア(PicoSure)
エンライトン(enlighten)
ディスカバリーピコ(Discovery PICO)
などがあります。
これらの機器はそれぞれ異なる波長や出力特性を持ちます。
得意なシミの種類や肌への作用に微妙な違いがあります。
特にピコシュアは、その独特の波長と機能性で注目されています。
ピコシュア(PicoSure)とは?
ピコシュアは、世界で初めて登場したピコレーザー機器の一つです。
755nmという単一の波長を持つ点が大きな特長です。
この波長は、メラニン色素への吸収率が高いのが特徴です。
特に
- 薄いシミやそばかす
- 肌全体のトーンアップ
- そして頑固な肝斑治療
において高い効果が期待されています。
- 特長的な波長(755nm): 他のピコレーザーが主に1064nmと532nmの波長を使用するのに対し、ピコシュアは755nmというメラニン吸収率の高い波長に特化しています。これにより、肌の奥深くにあるシミにもアプローチしやすくなります。
- 肌質改善効果(真皮の活性化): シミ治療だけでなく、コラーゲンやエラスチンの生成を促す作用も報告されており、肌のハリやツヤ、小じわの改善といった肌全体の若返り効果も期待できます。
- 低刺激性: ピコ秒という短いパルス幅で照射するため、肌への熱ダメージが少なく、ダウンタイムや炎症後色素沈着のリスクを抑えやすいとされています。
特に薄いシミやくすみ、肌全体の透明感を求める方には、ピコシュアによる治療が非常に人気です。
満足度が高い傾向にあります。
しかし、サジェストキーワードを確認すると、その通りとは言い切れません。

ココがポイント!
結局は、やってみなければわからない。
こんな曖昧な説明になっていた場合は、他のクリニックでカウンセリングを受けることを強く推奨します。
ピコスポット(集中照射モード)
特徴
Qスイッチレーザーと同様に、シミにピンポイントで高出力のレーザーを照射します。
色素をより細かく粉砕できます。
- Qスイッチレーザーでは取り切れなかった薄いシミ
- 炎症後色素沈着のリスクを抑えたい場合
に選ばれることがあります。
得意なシミ・適応
- 老人性色素斑(濃いシミ〜薄いシミ)
- そばかす
- 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
- タトゥー、アートメイク除去
メリット
- Qスイッチより色素が細かく砕ける: より早く、よりきれいにシミが改善する可能性があります。
- ダウンタイム・色素沈着のリスクを低減: Qスイッチより肌への熱ダメージが少ないため、色素沈着のリスクが相対的に低いです。
- 薄いシミにも対応: Qスイッチでは反応しにくい薄いシミにも効果が期待できます。
デメリット・注意点
- 費用がやや高め: Qスイッチレーザーよりも導入費用が高いため、施術費用も高めになる傾向があります。
- ダウンタイムあり: 1週間程度の保護テープ期間があります。
ピコトーニング(顔全体照射モード)
特徴
低出力のピコレーザーを顔全体にシャワーのように連続照射します。肌に熱刺激を与えずに、少しずつメラニンを分解していくため、穏やかにシミを薄くしていきます。
得意なシミ・適応
- 肝斑(最も効果的とされる治療の一つ)
- 炎症後色素沈着
- 肌全体のくすみ、色ムラ改善
- 肌全体のトーンアップ
- 毛穴の開き
メリット
- 肝斑治療の主力: 肝斑を悪化させることなく、安全に治療できます。
- ダウンタイムがほとんどない: 施術後すぐにメイクや洗顔が可能です。
- 肌全体の美肌効果: シミだけでなく、くすみや色ムラも改善し、全体的なトーンアップ効果が期待できます。
デメリット・注意点
- 複数回の治療が必要: 1回で劇的な効果は期待できず、5〜10回以上の継続的な治療が必要です。
- 即効性はない: 穏やかな効果のため、焦らず継続する忍耐力が必要です。
ピコフラクショナル(肌質改善モード)
特徴
ピコレーザーを特殊なレンズ(MLA: Micro Lens Arrayなど)を通して照射します。
皮膚の真皮層に空洞(LIOB:Laser Induced Optical Breakdown)を形成します。
これにより、コラーゲンやエラスチンの生成を促進し、肌の再生を促します。
得意なシミ・適応
- ニキビ跡の凹凸(クレーター)
- 毛穴の開き
- 小じわ
- 肌質の改善(ハリ、弾力アップ)
- シミ取り後の凹み改善
メリット
- 肌質改善効果: シミ治療だけでなく、総合的な肌の若返りや改善効果が期待できます。
- ダウンタイムが比較的短い: 従来のフラクショナルレーザーに比べて、肌表面へのダメージが少なく、ダウンタイムが短いです。
デメリット・注意点
- 赤みや腫れ: 施術後に数日間の赤みや腫れ、ざらつきが出ることがあります。
- 複数回の治療が必要: 良好な効果を得るためには複数回の治療が必要です。

IPL(Intense Pulsed Light:光治療):幅広い肌悩みに対応
特徴
レーザーとは異なり、複数の波長を含む光を顔全体に照射する治療です。メラニン色素だけでなく、ヘモグロビン(赤み)にも反応するため、シミ、そばかす、赤ら顔、毛細血管拡張症など、幅広い肌悩みに効果が期待できます。
得意なシミ・適応
- 老人性色素斑(薄いシミ)
- そばかす
- 顔全体のくすみ、色ムラ
- 赤ら顔、毛細血管拡張症
- 全体的な肌質改善(ハリ、ツヤ、毛穴の引き締め)
メリット
- ダウンタイムがほとんどない: 施術後すぐにメイクが可能で、日常生活に支障をきたしにくいです。
- 複数の肌悩みに同時アプローチ: シミだけでなく、赤みや肌全体のトーンアップなど、総合的な美肌効果が期待できます。
- 穏やかな効果: 肌への負担が少ないため、治療を継続しやすいです。
デメリット・注意点
- 濃いシミには不向き: 1回の効果はレーザーに劣るため、濃いシミには複数回治療が必要です。
- 肝斑には不向きな場合も: 肝斑にIPLを照射すると悪化するリスクがあるため、肝斑対応モードがあるIPL機器を選ぶか、医師の判断が必要です。
- 日焼け肌には施術不可: 日焼けしている肌には火傷のリスクがあるため、施術できません。

あなたのシミにはどのレーザーが最適?
シミ取りレーザーの種類は多岐にわたります。
それぞれの特性を理解することは非常に重要です。
しかし、最終的に「どれが自分に最適か」を判断するのは、自己判断ではなく、専門医の診断が不可欠です。
- 濃くはっきりしたシミ(老人性色素斑、そばかす):
- Qスイッチレーザーかピコスポットが第一選択肢です。よりダウンタイムを短く、色素沈着のリスクを抑えたいならピコスポットが有利です。
- 肝斑・炎症後色素沈着・全体的なくすみ:
- ピコトーニングが最も推奨されます。IPLは肝斑対応モードがある場合に検討。
- 薄いシミ・そばかすと肌質改善:
- IPL(光治療)が有効です。肌全体のトーンアップも期待できます。
- ニキビ跡の凹凸や毛穴、肌のハリ:
- ピコフラクショナルが効果的です。
【誠からのメッセージ】
「ピコレーザーが最新だから一番良い」と安易に考えるのは危険です。
確かに高性能です。
しかし、
- 肝斑にはピコトーニング
- 濃いシミにはピコスポット
が適しています。
IPLの方が総合的な肌悩みに合うこともあります。
重要なのは、
- あなたのシミの種類
- 肌質
- そして目指すゴール
に合わせて、最適なレーザーを医師が提案してくれるかどうかです。
複数のクリニックでカウンセリングを受けてください。
最後まで納得のいく説明と診断を得ることが、シミ治療成功への一番の近道です。
【外部サイト参考】 日本美容皮膚科学会のウェブサイトや、各レーザー機器メーカーの公式情報では、それぞれのレーザーに関する詳細な情報や学術的な根拠が公開されています。
医師との相談の際に、これらの情報を参考にすることも有効です。
美容皮膚科学会で実際に発表されている先生のコラムも参考にしてください。
シミの種類を知り、適切なレーザーで理想の肌へ
シミ取りレーザーの種類は豊富です。
しかし、それぞれ得意なシミや肌への作用が異なります。
ご自身のシミの種類を正確に把握し、それに合ったレーザーを選択することが、シミ治療の成功と満足度を大きく左右します。
この記事で解説した情報を参考に、まずはあなたのシミがどのタイプなのかを理解することから始めましょう。
そして、最も大切なのは、自己判断せずに信頼できる美容クリニックで専門医の診断を受けることです。
医師は、あなたのシミの状態や肌質を見極めてくれるはずです。
その上で、最適なレーザーの種類と治療計画を提案してくれます。
もし、シミ取りレーザーの種類について、まだ不安や疑問が残っているなら、いつでもHow-to-Lにご相談ください。
美容クリニックに在籍経験のある誠が、あなたの「キレイになりたい」という想いを、知識と経験で全力でサポートします。
あなたの肌と心が、より一層輝く未来を心から応援しています。