「ゲーミングPCを購入したけど、部屋にLANケーブルが届かない…」
そんな理由で、Wi-Fi(無線LAN)での接続を検討している方も多いのではないでしょうか。
オンラインゲームでは有線接続が推奨されることが多いですが、適切な機器を選べば、無線でも十分快適にプレイすることが可能です。
私自身、これまでに複数のゲーミングPCを使用し、有線と無線の両方を使ってきました。
部屋の模様替えやルーターの設置場所の変更時には、無線の便利さを実感しています。
最新の技術を使えば、無線でも有線に劣らない安定性と速度を実現できます。
今回の記事では、ゲーミングPCを無線LANで快適に使うための情報をすべてまとめました。
- 初心者でも分かりやすいように、
- 無線LANの仕組み
- おすすめのルーターやアダプター
- そして遅延対策
まで、徹底解説します。
これを読めば、あなたのゲーミング環境がさらに快適になることでしょう。
ゲーミングPCのWi-Fi接続の基本
ゲーミングPCをWi-Fiで接続する方法は、PCに無線LANの機能が搭載されているかどうかで異なります。
デスクトップの場合、Wi-Fiが内蔵されているモデルとそうでないモデルがあります。
Wi-Fi搭載モデルの場合
最初からWi-Fi機能が付いているゲーミングPCは、別途の機器を購入する必要がなく、簡単に設定が完了します。
Windowsのネットワーク設定から、利用するWi-Fiルーターを選択し、パスワードを入力するだけで接続が可能です。

Wi-Fi非搭載モデルの場合
Wi-Fiが内蔵されていないデスクトップパソコンの場合は、Wi-Fiアダプターを用意する必要があります。
アダプターには、USBに差し込む外付けタイプと、PCの内部に取り付ける内蔵タイプの2種類があります。

ゲーミングPCに最適なWi-Fiの規格
Wi-Fiには「Wi-Fi 6(ax)」や「Wi-Fi 5(ac)」といった規格があります。
ゲーミングPCを快適に使うためには、最新の規格に対応した機器を選ぶことが重要です。
Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)
現在、最も新しいWi-Fi規格です。
Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)は、これまでのWi-Fi規格と比べて、より速く、より安定した通信を実現する技術です。
特に、たくさんのデバイスが同時にネットワークに接続される現代の環境に合わせて設計されています。
オンラインゲームや動画配信など、高速通信が必要な用途に最適です。

Wi-Fi 6の主な特徴
Wi-Fi 6を車道に例えると、これまでのWi-Fiは1台ずつ車が進むような片側1車線の道路でした。
しかし、Wi-Fi 6は複数車線の道路になり、渋滞を避けながらたくさんの車(データ)が同時にスムーズに走れるようになりました。
- 通信速度の向上: Wi-Fi 6は、理論上の最大通信速度が約9.6Gbpsと、Wi-Fi 5(約6.9Gbps)より高速です。これにより、大容量のゲームのダウンロードや4K動画のストリーミングなどが、よりスムーズになります。
- 遅延の軽減: 「OFDMA」という新技術により、1つの通信を複数の小さなグループに分けて同時に送受信できます。これにより、オンラインゲームなどで特に重要となる通信の遅延(ラグ)が大幅に軽減されます。
- 多台同時接続に強い: 家族みんながスマホやタブレット、スマート家電など、たくさんのデバイスを同時にWi-Fiに繋いでも、通信が不安定になりにくいです。混雑した環境でも安定した通信を維持できます。
- 消費電力の効率化: 「TWT(Target Wake Time)」という機能により、デバイスが次に通信する時間をルーターと事前に決めることができます。これにより、不要な通信を減らし、PCやスマートフォンのバッテリーを長持ちさせることが可能です。
Wi-Fi 6は、単に速いだけでなく、通信全体の安定性や効率を向上させているため、ゲーミングPCだけでなく、スマートホーム環境全体を快適にする上でも重要な役割を担っています。
Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)
Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)は、現在でも多くのルーターやデバイスに採用されている一般的なWi-Fi規格です。
数年前まで主流だった規格です。
Wi-Fi 6には劣りますが、通常の用途では十分な速度を提供します。

Wi-Fi 5の主な特徴
Wi-Fi 5は、それまでの規格に比べて通信速度が大きく向上したことで、高速通信の普及に貢献しました。
- 5GHz帯に特化: Wi-Fi 5は、2.4GHz帯ではなく5GHz帯のみを使用します。5GHz帯は、他の家電製品からの電波干渉を受けにくく、高速で安定した通信が可能です。ただし、障害物には弱いという特性があります。
- 高速通信の実現: 理論上の最大通信速度は約6.9Gbpsです。これは、4K動画のストリーミングや、オンラインゲームをプレイする上で十分な速度です。
- MU-MIMO機能: 複数のデバイスと同時に通信できる「MU-MIMO(Multi-User MIMO)」という機能が導入されました。これにより、家族が同時にスマートフォンやタブレットをWi-Fiに接続しても、通信速度が落ちにくくなりました。
Wi-Fi 5とゲーミングPC
現在販売されている多くのゲーミングPCやルーターは、Wi-Fi 5に対応しています。
オンラインゲームをプレイする上でも、Wi-Fi 5の速度と安定性があれば、一般的な環境では問題なく快適に楽しむことができます。
しかし、Wi-Fi 6やWi-Fi 6Eと比べると、通信が混雑しやすい環境や、複数のデバイスが同時に接続される場面では、わずかに遅延が発生する可能性があります。
より快適で安定したゲーミング環境を目指すなら、最新のWi-Fi 6以上の規格を検討するのがおすすめです。
Wi-Fi 6Eについて
Wi-Fi 6Eは、従来のWi-Fi 6に加えて、6GHz帯という新しい周波数帯を利用できる最新のWi-Fi規格です。

Wi-Fi 6Eの仕組みとメリット
Wi-Fi 6Eの最大の特徴は、これまでのWi-Fiが使用していた2.4GHz帯と5GHz帯に加えて、6GHz帯という新しい道路が開通したようなものだと考えると分かりやすいです。
- 干渉が少ない: 6GHz帯は他の家電製品(電子レンジやBluetooth機器など)や、古いWi-Fiルーターが使っていない周波数帯なので、電波の干渉が非常に少ないです。これにより、より安定した通信が可能になります。
- 混雑を避けて高速通信: 5GHz帯は多くの機器が利用するため、通信が混雑しやすい傾向があります。6GHz帯は新しい周波数帯なので、道が空いていてスムーズに進めるように、他の通信の影響を受けずに高速で安定した通信が可能です。
- レイテンシー(遅延)が改善: ゲームやVRなど、少しの遅延が大きな影響を与える用途では、この干渉の少なさから得られる安定性が特に重要になります。Wi-Fi 6Eは、オンラインゲームのラグ(遅延)を減らすのに非常に効果的です。
Wi-Fi 6Eを利用する際の注意点
Wi-Fi 6Eのメリットを最大限に活かすには、ルーターとPCの両方がWi-Fi 6Eに対応している必要があります。
どちらか一方だけが対応していても、6GHz帯での通信はできません。
また、6GHz帯は5GHz帯よりも障害物に弱いという特性があります。
そのため、ルーターとPCの間に壁や大きな家具があると、電波が弱くなり、接続が不安定になる可能性があります。
Wi-Fi 6Eを利用する場合は、ルーターをできるだけPCの近くに設置するのがおすすめです。
Wi-Fi 6Eは、特にゲームや動画配信など、高速で安定した通信を求めるゲーマーにとって、非常に魅力的な技術です。
無線LANルーターの選び方
ゲーミングPCをWi-Fiで接続する場合、ルーターの選び方が重要です。
特にオンラインゲームをプレイする場合は、通信速度と安定性を重視しましょう。
Wi-Fi 6に対応しているか
今後のゲーミング環境を考慮すると、Wi-Fi 6に対応したルーターを選ぶことが最も良い選択肢です。
快適なゲームプレイを維持するためにも、最新規格のルーターを検討しましょう。
アンテナの数と設置場所
アンテナが多いルーターは、電波を広範囲に飛ばすことができ、通信品質の向上が期待できます。
ルーターを設置する際は、ゲーミングPCの近くで、壁などの障害物が少ない場所を選ぶことが大切です。

無線LANアダプターの選び方
デスクトップパソコンでWi-Fiを使用したい場合は、無線LANアダプターが必要です。
選ぶ際のポイントを紹介します。
USB型か内蔵型か
- USB型: 手軽に付け外しができて便利です。ノートパソコンのWi-Fi機能が遅い場合の改善用としても使えます。
- 内蔵型: PCの内部に取り付けるため、配線がすっきりします。外部からの物理的な干渉を受けにくく、より安定した接続が期待できます。

対応規格とアンテナ
アダプターもルーターと同じで、Wi-Fi 6に対応したものを選びましょう。
また、外付けアンテナが付いているモデルは、電波をしっかりとキャッチできるため、通信安定性が向上します。

ゲーミングPCにおすすめの環境は?
ゲーミングPCをWi-Fiで利用したい人にとって、最適な無線LAN環境を整えることは非常に重要です。
特にオンラインゲームをプレイする際は、通信速度や安定性が勝敗を左右する可能性すらあります。
ここでは、ゲーミングPCを快適に使うためのおすすめ機器を紹介します。
ゲーミングに特化したルーター
無線LANルーターは、Wi-Fi環境の中心となる機器です。
通常のルーターでもインターネットに接続できますが、ゲーミングに特化したモデルは、ゲームの通信を優先する機能(QoS)や、より安定した高速通信を実現する機能が備わっています。
- ASUS ROG Rapture GT-AXE16000: Wi-Fi 6Eに対応し、6GHz周波数帯を利用できるため、他の機器からの干渉を受けにくく、非常に安定した通信が可能です。ゲーマー向けの機能も豊富に搭載されており、有線に近い感覚でゲームを楽しめます。価格は高いですが、最高の無線環境を求める人におすすめです。
- TP-Link Archer AX73: Wi-Fi 6に対応し、最大5400Mbpsの高速通信を実現します。多台同時接続に強く、家族が多い家庭でも安定した通信を維持できます。価格と性能のバランスが非常に良く、コスパを重視するゲーマーに最適なモデルです。
ゲーミングPCにおすすめの無線LANアダプター
デスクトップPCでWi-Fiを利用する場合は、無線LANアダプターを追加することで、通信を大幅に改善できます。
- USB タイプ: 手軽に使えて便利です。ASUSのUSB-AX56は、Wi-Fi 6に対応し、コンパクトながらも高速で安定した通信を提供します。ノートパソコンのWi-Fiを強化する用途にも使えます。
- 内蔵 タイプ: PCIeスロットに差し込んで使うタイプで、安定性がUSBタイプよりも優れています。TP-LinkのArcher TX3000Eは、Wi-Fi 6に対応し、Bluetooth 5.0も搭載しているので、ヘッドセットなどの周辺機器との接続もスムーズです。
Wi-Fi接続の遅延を減らす方法
Wi-Fi接続でゲーム中の遅延を減らすには、いくつかの簡単な対策があります。
以下の方法を試すことで、通信の安定性を向上させ、より快適にゲームをプレイできるようになります。
電波の干渉を避ける
電子レンジやコードレス電話、Bluetooth 機器などは、Wi-Fi電波に干渉する可能性があります。
ルーターやゲーミングPCの近くにこれらの機器を置かないようにしましょう。
ルーターの設置場所を見直す
Wi-Fiの電波は、壁や家具などの障害物に弱いです。
ルーターとゲーミングPCの間に壁や家具などの障害物があると、電波が弱くなります。
ルーターをゲーミングPCの近くに設置し、間に障害物がないようにすることで、電波が安定しやすくなります。
また、ルーターは床に置かず、少し高い位置に設置するのがおすすめです。
電波が広がりやすくなります。
特に、ルーターが部屋の隅にある場合は、中央に近い場所に移動させるだけでも効果が期待できます。

混雑していない周波数帯に接続する
Wi-Fiは通常、2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯を使っています。
- 2.4GHz: 障害物に強いですが、他の家電(電子レンジなど)との干渉が多く、速度が遅いことがあります。
- 5GHz: 高速で安定していますが、障害物に弱いという特徴があります。
ゲーミングPCは、干渉が少なく、通信速度が速い5GHz帯に接続することが推奨されます。

QoS機能の活用
QoS(Quality of Service)機能とは、特定の通信を優先的に処理するルーターの機能です。
家族が同時に動画を視聴したり、大きなファイルをダウンロードしたりしている場合でも、ゲームの通信を優先させることで、安定した通信を維持できます。
お使いのルーターの管理画面で設定できますので、確認してみましょう。

無線LANアダプタを見直す
デスクトップPCでWi-Fi接続している場合、使用している無線LANアダプタが古い規格(例: Wi-Fi 4)だと、通信速度や安定性に問題が生じることがあります。
最新のWi-Fi 6に対応したアダプタに買い替えるだけで、通信環境が大きく改善される可能性があります。
上記を試しても遅延が改善されない場合は、回線そのものに問題がある可能性も考えられます。
その場合は、プロバイダの乗り換えや、より高速な光回線への変更を検討するのも良いでしょう。
ファームウェアの更新
ルーターやアダプターのファームウェアは、定期的に更新しましょう。
メーカーが提供する更新によって、性能が向上したり、セキュリティ問題が解決されたりすることがあります。
ゲーミングPCにWi-Fiを設定する手順
ゲーミングPCのWi-Fi設定は簡単です。
以下の手順で進めましょう。
Wi-Fi機能を有効にする
デスクトップパソコンの場合、別途のアダプターを使用している場合は、PCのUSBポートやPCIeスロットに正しく接続されているか確認しましょう。
Wi-Fiルーターに接続する
Windowsのタスクバーにあるネットワークアイコンをクリックし、表示されたWi-Fiの一覧から自分のルーターを選択します。
パスワードを入力して接続完了です。
通信速度の確認
接続が完了したら、インターネット速度測定サイトを利用して通信速度を確認しましょう。
ダウンロード速度やアップロード速度、ping(遅延)の値をチェックして、安定しているかを確認します。
Wi-Fiの設定がうまくいかない場合の対処法
設定がうまくいかない場合、以下の手順を試してください。
再起動から試してみる
まず、ゲーミングPCとルーターの両方を再起動してみましょう。
これは基本的なことですが、一時的な不具合が解消されることが多く、多くの場合に効果があります。
無線LANアダプタの接続を確認する
無線LANアダプタが正しくPCに接続されているか確認してください。
デスクトップPCの場合は、
- USBポートやPCIeスロットにしっかりと差し込まれているか
- また、外付けアンテナが付いている場合は緩んでいないか
チェックしましょう。
ドライバーの更新
無線LANアダプタのドライバーが古い場合、通信が不安定になることがあります。
メーカーの公式サイトから最新のドライバーをダウンロードしてインストールすることで、問題が解決する場合があります。

ルーターやPCのトラブルシューティング
Windowsには、ネットワークのトラブルシューティング機能が搭載されています。
Windowsの「設定」から「ネットワークとインターネット」→「トラブルシューティング」と進み、指示に従って問題を診断してみましょう。
それでも解決しない場合は、LANケーブルで一時的に有線接続を試してみることで、問題がPC側にあるのか、無線環境側にあるのかを切り分けられます。

ゲーミングPCのWi-Fi接続に関するQ&A
Q1: Wi-Fiでオンラインゲームはできますか?
A: できます。
最新のWi-Fi 6に対応した機器と、安定した光回線を利用すれば、無線でも有線に近い快適さでオンラインゲームを楽しむことが可能です。
Q2: どんなWi-Fiアダプターがおすすめですか?
A: Wi-Fi 6に対応し、外部アンテナが付いているモデルがおすすめです。
USB型ならTP-Linkの「Archer」シリーズやASUSの「AX」シリーズが人気です。
Q3: 速度が遅い場合はどうすればいいですか?
A: まず、ルーターの設置場所をPCに近づけてみましょう。
それでも改善しない場合は、Wi-Fiルーターやアダプターを新しいものに買い替えることを検討します。
光回線の速度自体が遅い可能性もあるため、契約内容を確認することも大切です。
ゲーミングPCのWi-Fi接続ガイドまとめ
ゲーミングPCのWi-Fi接続は、正しい知識と機器を選ぶことで、有線に匹敵する快適なゲーミング環境を実現できます。
特にオンラインゲームを楽しむ方は、Wi-Fiルーターやアダプターを選ぶ際に、最新のWi-Fi 6規格に対応しているかを必ず確認しましょう。
この記事で解説したポイントを参考に、あなたのゲーミングライフをさらに充実させてください。
サイト外リンク
- TP-Link 公式サイト: Wi-Fiルーターやアダプターの製品情報
- ASUS 公式サイト: ROG シリーズのゲーミングルーターを確認
- 価格.com: ゲーミングPCの無線LANアダプターランキング
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