ゲーミングPCを構成するパーツの中で、CPUやGPUがゲームの処理速度やグラフィックの美しさに直接的に影響を与えることはよく知られています。
しかし、意外と見落とされがちなのが、ゲームのロード時間やPCの起動時間に大きく影響するストレージです。
私自身、初めてゲーミングPCを購入する際は、「HDDでも容量が大きければそれで十分だろう」と漠然と考えていました。
当時の知識では、データを保存する場所という認識しかなく、速度の違いがゲーム体験にどれほど大きな影響を与えるか、想像も付いていませんでした。
しかし、実際にSSDを搭載したゲーミングPCを使ってみて、その認識は根本的に変わりました。
ゲームの起動やロード時間が劇的に短縮されました。
PC全体の動作も驚くほどスムーズになったのです。
特にオンラインゲームでは、マッチング後の読み込みで置いていかれることがなくなりました。
まさに目から鱗の経験でした。
この体験から、ストレージは単なるデータ保存場所ではなくなりました。
ゲーミングPCの快適さを左右する「体感速度」に最も影響するパーツの一つだと確信しました。
現在、ゲーミングPCのストレージには、高速なSSD(ソリッドステートドライブ)と、大容量で安価なHDD(ハードディスクドライブ)の二種類が主に使用されています。
どちらを選ぶかによって、ゲームプレイの快適さはもちろん、PC全体の応答性も大きく異なります。
今回の記事では、
- SSDとHDDの根本的な違い
- それぞれのメリットとデメリット
- ゲームにおける読み込み速度の比較
そしてゲーミングPCに最適なストレージの選び方と使い分けを、初心者にもわかりやすく徹底的に解説します。
2025年現在の最新情報も踏まえ、あなたのゲーミングPCに最適なストレージ構成を見つけましょう。
最高のゲーム体験を実現しましょう。
SSDとHDDの基本的な違い
ゲーミングPCのストレージとして主流のSSDとHDDは、データの保存方法や読み書きの仕組みが大きく異なります。
この違いが、それぞれの性能や特徴に直結します。
SSD(ソリッドステートドライブ)とは
SSDはNAND型フラッシュメモリを使用した記憶媒体です。
HDDのように物理的な可動部品を持ちません。
「ソリッドステート」(固体)という名前が付けられています。
特徴とメリット
- 高速性: HDDと比べて圧倒的な読み書き速度を誇ります。ゲームの起動やロード時間、アプリケーションの起動やファイルのコピーなどが大幅に短縮されます。
- 静音性: 可動部品がないため、動作音が全く発生しません。静音性を重視するゲーマーにとって大きなメリットです。
- 耐衝撃性: 物理的な衝撃に強いため、ノートパソコンや持ち運ぶ機会の多いPCに適しています。HDDのようにデータ破損のリスクが低いです。
- 低発熱: HDDに比べて発熱が少ないため、PC内部の冷却に貢献します。
- 低消費電力: 消費電力も少ないため、特にノートパソコンのバッテリー寿命に良い影響を与えます。
種類(SATA SSD / NVMe SSD)
SSDには主にSATA接続の2.5インチSSDと、PCIe接続のM.2 SSD(NVMe)の2種類があります。
- SATA SSD: HDDと同じSATAケーブルで接続するタイプです。価格はNVMe SSDより安価ですが、速度はSATAの規格上、最大600MB/s程度に制限されます。
- NVMe SSD: マザーボードに直接M.2スロットで接続するタイプ。PCI Expressという高速なインターフェースを利用します。読み書き速度はSATA SSDの数倍から数十倍に達します。ゲーミングPCのOSやゲームインストール先として最適です。

HDD(ハードディスクドライブ)とは
HDDは、磁気でデータを記録するプラッター(円盤)と、そのプラッターを読み書きするヘッドが内蔵された記憶媒体です。プラッターが高速で回転することでデータにアクセスします。
特徴とメリット
- 大容量: SSDに比べてはるかに大きな容量を安価で提供します。数TB(テラバイト)単位のデータ保存に適しています。
- 安価: 容量あたりの価格がSSDより格段に安く、大容量のデータを保存したい場合にコストパフォーマンスに優れます。
デメリット
- 速度: 物理的な可動部品を持つ。そのため、SSDに比べて読み書き速度が遅くなる。ゲームのロード時間やPC起動時間が長くなります。
- 音: プラッターの回転音やヘッドの動作音が発生します。
- 耐衝撃性: 衝撃に弱い。PCの移動時などに衝撃を与えるとデータ破損や故障のリスクが高いです。
- 発熱・消費電力: SSDより発熱が多い。消費電力も高い傾向にあります。
- 寿命: 可動部品があるため、物理的な摩耗により寿命が限られます。
種類(3.5インチ / 2.5インチ)
HDDには主にデスクトップPCに使用される3.5インチと、ノートパソコンや小型PCに使用される2.5インチの2種類があります。

ゲーミングPCにおけるSSDとHDDのパフォーマンス比較
ゲーミングPCにおいて、SSDとHDDの最も大きな違いは、ゲームのロード時間やPC全体の応答性に現れます。このパフォーマンスの差は、ゲームプレイの快適さに直接的に影響します。
PC起動時間とアプリケーションの起動速度
SSDはHDDに比べて、OSの起動時間やアプリケーションの立ち上がりが格段に速いです。
- SSD: Windowsの起動は10秒〜20秒程度、アプリケーションは数秒で起動することが可能です。
- HDD: Windowsの起動に数分かかることや、アプリケーションの起動も数十秒かかることが珍しくありません。
私自身もゲーミングPCを購入してSSDを使うまで、PCの起動やソフトの立ち上がりはこれくらいの時間がかかるものだと思っていました。
しかし、SSDに交換した時の感動は忘れられません。
まるで別物のPCになったかのようにスムーズに動作しました。
これまで待っていた時間がいかにもったいなかったかを痛感しました。
ゲームのロード時間とFPSへの影響
ゲームのロード時間は、SSDとHDDの最も顕著な違いが現れるところです。
ロード時間の比較
- SSD: ゲームの起動やステージの切り替え、セーブデータの読み込みなどが数秒から数十秒で完了します。特にオープンワールドやマップの広いゲームでは、その差が歴然となります。
- HDD: 同じゲームでもロード時間が数分に及ぶこともあります。ゲームのテンポが悪くなります。オンラインゲームでは、他のプレイヤーを待たせてしまうこともあります。
例えば、Final Fantasy XIVやMonster Hunter: World、Cyberpunk 2077のような大規模ゲーム。
SSDの有無でゲーム体験が大きく異なります。
SSDを使っているユーザーはゲームの読み込みが速いため、ゲーム内で移動する際もスムーズにデータが読み込まれます。
快適なゲームプレイが可能です。
FPSへの影響(間接的)
ストレージ速度は直接的にFPS(フレームレート)を向上させるわけではありません。
FPSはCPUやGPUの性能に依存します。
しかし、HDDの場合。
ゲームが必要とするデータの読み込みが間に合わないと、どうなるのか?
- 一時的にカクつきが発生した
- テクスチャの表示が遅れた
といった症状がおこる可能性があります。
これは俗に「スタッター」と呼ばれる現象。
SSDを使用することで大幅に軽減できます。
特に最近のゲームは、高速なストレージからのデータ読み込みを前提に設計されていることも多い。
そのため、SSDは快適なゲームプレイに不可欠と言えるでしょう。

ゲーミングPCにおけるSSDとHDDの選び方と使い分け
SSDとHDD、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、あなたのゲーミングスタイルや予算に合わせて適切なストレージ構成を選択することが重要です。
ゲーミングPCにおすすめのストレージ構成
現在のゲーミングPCでは、SSDとHDDを組み合わせるのが最も一般的でおすすめの構成です。
OSと主要ゲームはSSDにインストール
- Windows OSや頻繁にプレイするゲーム。
- 起動速度を重視したいアプリケーション。
いずれも、必ずSSDにインストールしましょう。
これにより、PCの起動やゲームのロード時間が大幅に短縮されます。
全体的な快適さが向上します。
ゲーミングPCのメインドライブとしては、NVMe M.2 SSDが最もおすすめです。
容量は最低でも500GB、できれば1TBあると安心です。
Steamなどのゲームプラットフォームでダウンロードするゲームの容量は年々増加する傾向にあります。
500GBだと最新AAAタイトルが数本しか入らないこともあります。
大容量データはHDDに保存
- あまり頻繁にプレイしないゲーム
- 動画や写真などの大容量ファイル
- バックアップデータ
などは、HDDに保存するのがコストパフォーマンス的に優れています。
HDDは容量あたりの価格が安い。
数TB単位のモデルも手頃な価格で購入できます。
この使い分けにより、高速性と大容量の両方を兼ね備えたバランスの良いストレージ環境を構築できます。

容量の目安と選び方
SSDとHDD、それぞれの必要な容量は、あなたのゲーミングスタイルや用途によって異なります。
SSDの容量目安
- 500GB: OSと数本の主要ゲームをインストールするならこれくらいから。予算を抑えたい初心者向け。
- 1TB: OSと多くのゲームをインストールしたい人に最適。現在のゲーミングPCでは最も一般的でバランスの良い容量です。個人的にはここからがおすすめです。
- 2TB以上: SteamやEpic Gamesなどで大量にゲームを購入する人、動画編集やAIなどのクリエイティブ作業も行う人向け。これだけあればほぼ全てのゲームをSSDに入れられます。
HDDの容量目安
- 1TB: バックアップや少なめのデータ保存用。
- 2TB〜4TB: 動画や写真、あまりプレイしないゲームなど、大容量データの保存に最適。一般的なゲーマーにはこのあたりが推奨されます。
- 6TB以上: 大量の動画コンテンツを扱うクリエイターや、NAS(ネットワーク接続ストレージ)として使用する人向け。
価格とコストパフォーマンス
SSDは年々価格が下がっています。
大容量モデルも手頃になってきています。
それでも容量あたりの価格ではHDDに軍配が上がります。
- SSD: 速度と静音性を追求するなら価格を気にせず導入すべきパーツ。
- HDD: 大容量のデータを安価で保存したい場合に最適。
予算を考慮しつつ、SSDの高速性を享受できるよう、最低でもOSとよく使うゲームはSSDにインストールできるよう予算を確保しましょう。

ノートパソコンとデスクトップPCでの選択
ノートパソコンとデスクトップPCでは、ストレージの選択肢や取り付けの自由度が異なります。
ノートパソコンの場合
ノートパソコンは内部スペースが限られています。
ストレージの増設や交換が難しい場合が多いです。
ゲーミングノートPCでは、M.2 SSDが主に搭載されています。
モデルによっては2つのM.2スロットを持っていることもあります。
- 基本はM.2 SSD: OSとゲームをインストールするために、最低でも500GB、できれば1TB以上のM.2 SSDを選ぶのが最適です。
- 2.5インチスロット: 一部のゲーミングノートPCには、2.5インチSATA SSDやHDDを追加できるスロットがあることもあります。大容量のデータ保存を目的とする場合は検討しても良いでしょう。
デスクトップPCの場合
デスクトップPCは内部スペースが広いため、ストレージの選択肢や増設の自由度が非常に高いです。
- NVMe M.2 SSDをメインに: マザーボードに搭載されたM.2スロットにNVMe SSDをOS用と主要ゲーム用として使用するのが最適です。
- SATA SSDやHDDをサブに: さらに大容量が必要な場合は、2.5インチSATA SSDや3.5インチHDDを複数台追加することが可能です。

BTOパソコンと自作PCでのストレージ選択
ゲーミングPCを購入する方法として、BTOパソコンと自作PCの二つがあります。それぞれでストレージの選択はどう変わるでしょうか。
BTOパソコンでの選択
BTOパソコンは、基本構成からストレージをカスタマイズできます。
- SSDとHDDの組み合わせ: 多くのBTOメーカーでは、OS用のSSDとデータ保存用のHDDの両方を搭載するオプションを提供しています。SSDの種類(SATAかNVMeか)や容量、HDDの容量を選択できます。
- 注意点: 標準構成ではSSDの容量が少なく設定されている場合があります。ゲームを多くインストールする予定なら、必ず1TB以上のSSDへのアップグレードを検討しましょう。
自作PCでの選択
自作PCは、パーツを一つ一つ自分で選ぶため、ストレージの選択肢が最も自由です。
- マザーボードのM.2スロット数: NVMe SSDを複数搭載したい場合は、マザーボードのM.2スロットの数を確認しましょう。最新のマザーボードは2つから4つ程度のM.2スロットを搭載していることが多いです。
- SATAポート数: SATA SSDやHDDを複数台接続したい場合は、マザーボードのSATAポート数も確認が必要です。
- 適切な組み合わせ: OSと主要ゲーム用のNVMe SSD(1TBまたは2TB)と、大容量データ保存用のHDD(2TB〜4TB)を組み合わせるのが一般的でおすすめの構成です。

よくある質問とストレージのさらなる知識
ゲーミングPCのストレージに関する疑問を解決し、さらに深い知識を身につけましょう。
ストレージに関するよくある質問
Q. 今使っているHDDのPCにSSDを増設できますか?
A. はい、可能な場合が多いです。
デスクトップPCであれば、マザーボードにM.2スロットやSATAポートの空きがあれば、SSDを増設できます。
ノートパソコンの場合でも、M.2スロットや2.5インチベイに空きがあれば増設が可能です。
しかし、分解が必要な場合もあります。
ご自身で行う際は十分注意するか、専門業者に依頼することをおすすめします。
SSDを増設したら、
- OSをSSDに移行(クローン)する
- クリーンインストールする
ことで、PCの起動速度やゲームのロード時間を大幅に向上させることができます。
Q. SSDの寿命は短いと聞きましたが大丈夫ですか?
A. 昔に比べて現在のSSDは非常に耐久性が向上しています。
データの読み書きには回数制限がありますが、一般的な使用で数年で寿命が尽きるということはほとんどありません。
- ゲーミングPCでのゲームのインストールやプレイ
- OSの使用
この程度であれば、通常の使い方で問題なく長く使えます。
メーカーの保証期間も5年〜10年と長く設定されている製品も多いです。
安心して利用できます。
Q. ゲームはHDDに入れてもプレイできますか?
A. はい、プレイは可能です。
HDDにゲームをインストールしても動作します。
しかし、前述の通り、SSDに比べてロード時間が格段に長くなります。
特に最近の大容量ゲームやオープンワールドのゲームでは、HDDでは読み込みが間に合わず、カクつきやテクスチャの遅延が発生するなど、快適性が損なわれる可能性があります。
オンラインゲームでは読み込みの遅さがストレスになることも多いです。
可能であればよくプレイするゲームはSSDに入れることを強くおすすめします。
ストレージ選びの応用知識
DRAMキャッシュの有無
SSDにはDRAMキャッシュを搭載しているモデルと搭載していないモデル(DRAMレス)があります。
DRAMキャッシュを搭載しているSSDは、データの読み書きを高速化し、耐久性も向上させます。
ゲーミングPCのメインドライブとして使用する場合は、DRAMキャッシュ搭載モデルを選ぶのがおすすめです。
安価なDRAMレスSSDはサブ用途やポータブルSSD向けと考えられます。
ヒートシンクの必要性
NVMe M.2 SSDは高速で動作するため、発熱が比較的高くなります。
高温になるとサーマルスロットリング(熱による性能低下)が発生することがあります。
本来の性能を発揮できなくなる可能性があります。
そのため、ゲーミングPCでNVMe M.2 SSDを使用する場合。
- ヒートシンクが付属しているモデルを選ぶ
- 別途ヒートシンクを購入して取り付ける
どちらかを検討しましょう。
マザーボードにM.2スロット用のヒートシンクが搭載されている場合もあります。
サイト外リンクと参考情報
ゲーミングPCのストレージ選びは、快適なゲーム体験に直結する重要な選択です。
以下のサイトも参考にしながら、最新の情報やベンチマークスコアを確認し、あなたに最適なSSDやHDDを見つけてください。
- ドスパラ (SSD): SSD(ソリッドステートドライブ) | ドスパラ通販 – BTOパソコンだけでなく、PCパーツの販売も行い、最新のSSDが購入できます。
- パソコン工房 (SSD): SSD(ソリッドステートドライブ) | パソコン工房 – BTOパソコンやPCパーツの販売で人気があり、多くのゲーマーに利用されています。
- ツクモ (SSD): SSD検索結果|PCパーツ・周辺機器【ツクモ】 – 自作PCパーツの品揃えが豊富で、専門的な知識も得られます。
SSDとHDDを使いこなして最高のゲーミングPCを
ゲーミングPCのストレージ選びは、PCの起動速度やゲームのロード時間に大きく影響します。
最終的にはゲーム体験の快適さを左右する非常に重要な要素です。
私自身も、HDDからSSDに移行した際に体感した劇的な速度向上は、ゲーミングPCの価値を再認識させてくれるものでした。
現在のゲーミングPCでは、高速性に優れるSSDと大容量で安価なHDDを組み合わせる「ハイブリッド構成」が最もおすすめです。
OSや頻繁にプレイするゲームはNVMe M.2 SSDにインストールしましょう。
それ以外の大容量データやあまりプレイしないゲームはHDDに保存することで、速度と容量の両方をバランス良く手に入れることが可能になります。
SSDの容量は最低500GB、できれば1TB以上を選びましょう。
HDDは用途に合わせて2TBや4TBを検討しましょう。
BTOパソコンを購入する際も、ストレージのカスタマイズでSSD容量を増やすことを忘れずに確認してください。
この記事が、あなたのゲーミングPCのストレージ選びに役立てば幸いです。
より快適でストレスのないゲームライフを送れることを願っています。
SSDとHDDの特性を理解し、あなたにとって最適なストレージ構成で最高のゲーミング体験を手に入れてください。