「Windows Serverを使いたいけど、CALって何?」
「ユーザーCALとデバイスCAL、どっちを選べばいいの?」
「ライセンスが複雑でよく分からない…」
Windows Serverを導入・運用する際、多くの人が直面する疑問の一つが「CAL(Client Access License)」です。
サーバーのライセンスは購入したけれど、CALの必要性や種類が分からず、困ってしまうケースは少なくありません。
私自身も、これまでWindows Serverの導入や管理に携わる中で、このCALライセンスの複雑さに何度も直面してきました。
適切なCALを選ばないと、コストが無駄になったり、最悪の場合、ライセンス違反になってしまう可能性もあります。
CALとは、Client Access Licenseの略で、マイクロソフトのサーバーソフトウェアにアクセスするために必要な「クライアントアクセスライセンス」のことです。
簡単に言えば、Windows Serverを使っているパソコンやユーザーが、そのサーバーの機能やサービスを利用するための「利用券」のようなものです。
今回の記事では、2025年最新情報を基に、Windows CALについて基本から分かりやすく徹底解説します。
- CALの種類と選び方
- どのようなサービスでCALが必要になるのか
- 多くの人が疑問に思うライセンスに関するよくある質問とその解決策
まで、網羅的に情報を提供します。
この知識を身につけることで、あなたのWindows Server環境を適切に管理し、不要なコストやリスクを避けることができるでしょう。
さあ、CALの仕組みを理解して、サーバー運用をよりスムーズに進めましょう!
Windows CALとは何か?
Windows CALは、Client Access Licenseの略です。
マイクロソフトのWindows Serverソフトウェアにアクセスするために必要なライセンスです。
Windows Server自体を動作させるための「サーバーライセンス」とは別に、サーバーに接続してその機能を利用するユーザーやデバイスごとに必要になります。
なぜCALが必要なのか?
マイクロソフトのライセンス体系では、サーバーソフトウェアをインストールするサーバー本体のライセンスとは別に、そのサーバーの機能を利用するクライアント側にもライセンス(CAL)を求めることで、利用形態に応じた公平な課金を行っています。
これにより、利用するユーザーやデバイスの数が少ない企業は、大規模な企業よりもコストを抑えてサーバーを利用できるようになっています。
例えば、Windows Serverを導入してファイル共有サーバーとして利用する場合、そのファイル共有サーバーにアクセスする各ユーザーや各デバイスがCALを持っている必要があります。
CALなしでアクセスすると、ライセンス違反になる可能性があります。
Windows ServerライセンスとCALの違い
多くの人が混同しやすい点として、Windows Serverの「サーバーライセンス」と「CAL」の違いがあります。
Windows Serverライセンス
Windows Server OS自体をサーバーマシンにインストールして動作させるためのライセンスです。
これは、サーバー本体(CPUコア数など)に対して付与されます。
例えば、Windows Server 2022 Standard版やDatacenter版などがあります。
CAL(Client Access License)
Windows Serverが稼働しているサーバーに、クライアント(ユーザーやデバイス)がアクセスして機能を利用するためのライセンスです。
これは、サーバーに接続するユーザーの数またはデバイスの数に応じて購入する必要があります。
簡単に言えば、サーバーOSを動かすのがサーバーライセンス、そのOSが提供するサービスを利用するのがCALと考えると分かりやすいでしょう。
CALの種類と選び方
Windows CALには主に2つの種類があり、どちらを選ぶかは利用環境によって最適解が異なります。
適切なCALを選択することで、ライセンスコストを最適化できます。
ユーザーCAL(User CAL)

ユーザーCALは、特定のユーザーが、場所やデバイスに関わらずサーバーにアクセスするためのライセンスです。
1つのユーザーCALを購入すれば、そのユーザーは会社のPC、自宅のPC、スマートフォンなど、複数のデバイスから同じサーバーにアクセスできます。
ユーザーCALが適しているケース
- ユーザー数が少なく、1人が複数のデバイスを使用する環境。
例: 社員数が少ない企業で、各社員がデスクトップPC、ノートPC、スマートフォンなど複数の端末からサーバーにアクセスする場合。 - 営業担当者やテレワーカーなど、様々な場所やデバイスからサーバーにアクセスする必要があるユーザーが多い場合。
デバイスCAL(Device CAL)

デバイスCALは、特定のデバイスが、複数のユーザーによってサーバーにアクセスするためのライセンスです。
1つのデバイスCALを購入すれば、そのデバイスを共有する複数のユーザーが、そのデバイスからサーバーにアクセスできます。
デバイスCALが適しているケース
- ユーザー数よりもデバイス数が少ない環境
例: 複数の社員が1つの共有PCやキオスク端末など、特定のデバイスを共有してサーバーにアクセスする場合。 - 交代制勤務などで、1台のPCを複数のユーザーが利用する環境。
- コールセンターのように、複数のオペレーターが同一の端末を利用して業務を行う場合。
ユーザーCALとデバイスCALのどちらを選ぶべきか?

どちらのCALを選ぶべきかは、ユーザー数とデバイス数のどちらが少ないかによって決まります。
コストを最適化するためには、少ない方に合わせてCALを購入するのが一般的です。
- ユーザー数 < デバイス数 の場合: ユーザーCAL
- ユーザー数 > デバイス数 の場合: デバイスCAL
例えば、社員が50人いて、それぞれがPCとスマートフォンからアクセスする場合(デバイス数100)、ユーザーCALを50個購入する方が、デバイスCALを100個購入するよりも安価になります。
逆に、社員が200人いるが、共有PCが50台しかない場合、デバイスCALを50個購入する方が、ユーザーCALを200個購入するよりもコストを抑えられます。
CALが必要なサービスと不要なケース
Windows Serverで提供される全てのサービスに対してCALが必要なわけではありません。
ここでは、CALが必要となる主なサービスと、CALが不要なケースについて解説します。
CALが必要な主なサービス
基本的に、ユーザーやデバイスがWindows ServerのOS機能にアクセスして利用する場合にはCALが必要です。
- ファイルサービス: サーバー上の共有フォルダにアクセスしてファイルを保存・取得する。
- プリンターサービス: サーバーに接続されたプリンターを利用する。
- Active Directory: ユーザーやコンピュータの認証、グループポリシーの適用など、Active Directoryの機能を利用する。
- DHCP/DNSサービス: サーバーが提供するDHCP(IPアドレス自動配布)やDNS(ドメイン名解決)サービスを利用する。
- アプリケーションサーバー: サーバー上で動作するアプリケーションにクライアントがアクセスする。
特定のCALが必要な場合(Add-on CAL)
通常のCAL(Standard CAL)とは別に、特定の高度な機能を利用する場合に必要となる特別なCALもあります。
RDS CAL(Remote Desktop Services CAL)

リモートデスクトップサービス(RDS)を利用して、サーバーに接続し、リモートデスクトップセッションを行う場合に必要です。
これは、通常のCALとは別に購入する必要があります。
ユーザーCALまたはデバイスCALの選択肢があります。
RMS CAL(Rights Management Services CAL)
Active Directory Rights Management Services(AD RMS)を利用して、情報の保護(暗号化や利用制限)を行う場合に必要です。
CALが不要なケース

特定の条件においては、CALは不要とされています。
サーバー管理者によるアクセス
サーバーの管理目的でサーバーに直接アクセスする場合(物理的なコンソール操作やリモートでのサーバー管理ツール利用など)は、CALは不要です。
Webワークロード
サーバーがインターネットに公開されたウェブサイト(パブリックウェブサイト)を提供している場合、外部からの匿名アクセスに対してはCALは不要です。
これは、ウェブサーバーとして機能する場合に適用されます。
SQL Serverなど、他のライセンスモデルを持つ製品
SQL Serverなどの一部のMicrosoft製品は、Windows ServerのCALとは異なる独自のライセンスモデル(例: コアライセンス、Per User/Device CALなど)を持っているため、Windows ServerのCALは必要ありません。
ただし、その製品自体のクライアントアクセスライセンスは必要になる場合があります。
外部ユーザー(External Users)
特定の外部ユーザー(組織の従業員ではない顧客やパートナーなど)が、組織のサーバーにアクセスする場合にCALが不要になる特別なライセンスオプションもあります。
これは通常、より大規模な契約形態で提供されます。
Windows Server CALのよくある質問
CALに関する疑問は多岐にわたります。ここでは、特によくある質問とその回答を紹介します。
Q1: 古いWindows ServerのCALを新しいバージョンでも使える?
A: 基本的に、下位互換性があります。
つまり、新しいバージョンのCAL(例: Windows Server 2022 CAL)は、それより古いバージョンのサーバー(例: Windows Server 2019や2016)にもアクセスできます。
しかし、上位互換性はありません。
古いバージョンのCAL(例: Windows Server 2016 CAL)で新しいバージョンのサーバー(例: Windows Server 2022)にアクセスすることはできません。
常に、サーバーのバージョンと同じか、それよりも新しいバージョンのCALが必要です。
Q2: 組織内の全てのユーザーがCALを持つ必要はある?
A: いいえ、サーバーにアクセスするユーザーまたはデバイスのみがCALを持つ必要があります。
例えば、社内に100人社員がいても、Windows Serverにアクセスするのが50人だけであれば、50人分のCALがあれば十分です。
Q3: CALはどこで購入できる?
A: CALは、Microsoftの正規リセラー(販売代理店)を通じて購入できます。
ボリュームライセンス契約や、OEM(PCメーカーからの購入)など、様々な購入方法があります。
オンラインストアや、契約しているマイクロソフトパートナーから購入することも可能です。
Q4: ライセンス違反にならないための注意点は?
A: 最も重要なのは、実際にサーバーにアクセスするユーザー数またはデバイス数に見合ったCALを適切に購入することです。
不明な点があれば、マイクロソフトのライセンスサポート窓口や、契約しているITベンダーに確認し、最新のライセンス情報に基づいて対応することが重要です。
定期的なライセンス監査や、利用状況の確認も推奨されます。
Q5: Windows Server EssentialsエディションにはCALは必要ない?
A: はい、Windows Server EssentialsエディションにはCALは必要ありません。
このエディションは、25ユーザーまたは50デバイスまでの小規模ビジネス向けに設計されており、CALなしで利用できるのが大きな特徴です。
ただし、このエディションには機能的な制限(仮想化権限など)や、ユーザー/デバイス数の上限があります。
まとめ:Windows CALを正しく理解しよう
この記事では、Windows Serverを運用する上で欠かせないCAL(Client Access License)について、その基本概念から種類、選び方、必要なサービス、そしてよくある質問とその解決策までを詳しく解説してきました。
私自身、このCALの概念を理解するまでに、いくつかの導入事例やサポート資料を参照する必要がありました。
Windows ServerのサーバーライセンスとCALは異なるものであり、ユーザーCALとデバイスCALのどちらを選ぶかは、ユーザー数とデバイス数のバランスによってコストが大きく変わるという点は、特に重要です。
この理解が、無駄なライセンス費用を抑え、コンプライアンスを遵守するための第一歩となります。
2025年現在、企業規模や利用形態に応じたライセンスの選択は、ITコストを最適化し、安全な運用を継続するために非常に重要です。
CALの適切な管理は、ライセンス違反のリスクを回避し、合法的にサービスを利用するための前提となります。
もし、この記事を読んでCALについてさらに疑問が生まれたり、自社の環境に最適なCALの種類が分からない場合は、専門家やMicrosoftのライセンスサポートに相談することをおすすめします。
この記事が、あなたのWindows Serverのライセンス管理の一助となれば幸いです。
参考文献・参考サイト
- Microsoft ボリュームライセンス: Windows Server https://www.microsoft.com/ja-jp/licensing/product-licensing/windows-server
- Microsoft Docs: Windows Server のクライアント アクセス ライセンス (CAL) https://www.microsoft.com/ja-jp/licensing/product-licensing/client-access-license