なぜRyzenの世代を知るべきなのか?
RyzenはCPUメーカーのAMDが販売しているCPUのことです。
Intel Core iシリーズとは別の選択肢として人気が高まっています。
IntelがCore iを代表的なCPUとしているように、RyzenはAMDを代表するCPUです。
Ryzenは、高いパフォーマンスを求めるミドルクラス以上のユーザーに向けたCPUです。
用途に合わせて多彩なラインアップがあります。
しかし、
- 「Ryzen 5 7600X」
- 「Ryzen 7 7840HS」
といった複雑な型番を見ると、PC初心者の方はどれを選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。
実は、この型番にはCPUの
- 「世代」
- 「性能」
- 「用途」
といった重要な情報がすべて含まれています。
これらの見方を理解すれば、PC購入や自作の際に、自分の用途に最適なCPUを簡単に見つけられるようになります。
この記事では、Ryzenの型番の読み解き方を基礎から丁寧に解説します。
最新世代のおすすめモデルまでを網羅的にご紹介します。
Ryzenの型番:基本の見方を解説
Ryzenプロセッサーの型番は、基本的に以下の4つの要素で構成されています。
このルールを理解することが、適切なCPUを選択する第一歩となります。
Ryzenシリーズとクラス
型番の最も先頭にあるのが「Ryzen 3 / 5 / 7 / 9」というシリーズ名です。これはCPUの性能クラスを表しています。
- Ryzen 3: 一般的な事務作業やウェブ閲覧など、日常的な用途向けのエントリーモデル。
- Ryzen 5: より多くの作業をこなせるバランスの取れたミドルモデル。ゲームや動画編集の入門にも適しています。
- Ryzen 7: 高負荷な作業や本格的なゲーミングに対応する高性能モデル。
- Ryzen 9: プロのクリエイターやハイエンドゲーマー向けの最上位モデル。

型番の最初の数字が示す「世代」
Ryzenの型番で最も重要なのが、シリーズ名に続く4桁の数字です。この最初の1桁目が「世代」を表します。
例: Ryzen 7
7800X の「7」が第7世代を意味します。
なお、かつてはデスクトップ向けとノートPC向けで命名規則が不規則な時期がありましたが、Ryzen 5000シリーズ以降はCPUアーキテクチャーが同じであれば、デスクトップ向けとノートPC向けで同じ数字になるように改められています。
世代 | シリーズ番号 | 主な発売時期 |
第7世代 | 7000番台 | 2022年〜 |
第6世代 | 6000番台 | 2022年〜 |
第5世代 | 5000番台 | 2020年〜 |
第4世代 | 4000番台 | 2020年〜 |
第3世代 | 3000番台 | 2019年〜 |

残りの数字が示す「性能」
型番の2桁目以降の数字は、同じ世代の中での性能の差を示します。
例: Ryzen 5
7600X
と Ryzen 5
7500X では、7600Xの方がわずかに高性能です。この数字は、コア数や動作周波数など、CPUの基本性能を表しています。
- 3桁目: モデルの性能を表す数字。
- 4桁目: 同じモデル内での微細な性能差を表す数字。
末尾のアルファベット記号の意味
CPUの中には、末尾に英字が付いたモデルも存在します。
この英字は「サフィックス」と呼ばれるものです。
そのCPUの持つ特徴や用途を細かく示しています。
CPUを選ぶ際は、世代やグレードとともにサフィックスもチェックするといいでしょう。
記号 | 意味 | 主な用途 |
G | GPU(グラフィック機能)搭載モデル | グラフィックボード不要のデスクトップPC |
X | 通常モデルよりもベースクロックが高いモデル | デスクトップ向け、オーバークロック対応 |
XT | Xよりもブーストクロックが高いモデル | 高性能ゲーミングPC |
H/HS | ノートPC向けのハイパフォーマンスモデル | ゲーミングノート、クリエイター向けノート |
U | ノートPC向けの低消費電力モデル | 薄型ノートPC、バッテリー駆動時間重視 |
E | ノートPC向けの超低消費電力モデル | 組み込みシステム、超長時間駆動モデル |
RyzenとCore iシリーズの比較
RyzenとIntel Core iシリーズを比較する際、
- 基本的にRyzen 3はCore i3に相当
- Ryzen 5はCore i5に相当
というようにCPUの名前で対応させることができます。
Ryzen(AMD) | Core i(Intel) |
Ryzen 9 | Core i9 |
Ryzen 7 | Core i7 |
Ryzen 5 | Core i5 |
Ryzen 3 | Core i3 |
さらにCPUの世代も比較することで、おおよその性能を判断できるようになります。
新しい世代のCPUがリリースされるタイミングはインテルとAMDとで一致することはないのですが、下記が目安となります。
AMD世代 | リリース年月 | インテル世代 | リリース年月 |
Ryzen 2000 | 2018年4月 | 第9世代 | 2018年10月 |
Ryzen 3000 | 2019年7月 | 第10世代 | 2020年5月 |
Ryzen 5000 | 2020年11月 | 第11世代 | 2021年3月 |
Ryzen 6000 | 2022年1月 | 第12世代 | ー |
Ryzen 7000 | 2022年9月 | 第12世代 | 2021年11月 |
Ryzen 8000 | 2024年2月 | 第14世代 | 2024年1月 |
Ryzen世代ごとの性能と特徴
Ryzenは世代ごとにアーキテクチャ(CPUの内部構造)が進化し、性能が大幅に向上しています。
第5世代Ryzen (5000シリーズ)
- 特徴: 「Zen 3」アーキテクチャを採用し、シングルコア性能とマルチコア性能が大幅に向上しました。特にデスクトップ向けのモデルは、Intel Core iシリーズと互角以上の性能を発揮し、Ryzenの人気を決定づけました。
- 主なモデル: Ryzen 5 5600X、Ryzen 7 5800Xなど。
- 用途: ゲームや動画編集など、現在でも十分な性能を発揮します。価格も手頃なので、コストを抑えたい自作PCユーザーにおすすめです。
第6世代Ryzen (6000シリーズ)
- 特徴: ノートパソコン向けの「Zen 3+」アーキテクチャと、RDNA 2グラフィックアーキテクチャを統合したモデルが主流です。特に内蔵グラフィック(APU)の性能が飛躍的に向上しました。
- 主なモデル: Ryzen 7 6800U、Ryzen 7 6900HSなど。
- 用途: 薄型ノートパソコンやタブレット向け。グラフィックカードがなくても、ある程度のゲームが快適に動きます。
第7世代Ryzen (7000シリーズ)
- 特徴: 最新の「Zen 4」アーキテクチャを採用。シングルコア性能がさらに向上し、ゲームや高負荷なクリエイティブ作業での性能が大幅に強化されました。DDR5メモリにも対応し、次世代のPC環境を構築できます。
- 主なモデル: Ryzen 5 7600X、Ryzen 7 7700X、Ryzen 9 7950Xなど。
- 用途: 最先端のゲームやプロのクリエイティブ作業に最適です。最高のパフォーマンスを求めるユーザー向け。

Ryzen搭載PCのCPUスペックを確認する方法
自分が使っているPCにどのRyzenが搭載されているかを確認する方法を解説します。
タスクマネージャーから確認
最も簡単な確認方法は、Windowsのタスクマネージャーを利用することです。
手順:
- タスクバー上で右クリック。「タスクマネージャー」を選択します。
- 「パフォーマンス」タブをクリックします。
- 左側の一覧から「CPU」を選択すると、CPUの型番やコア数、スレッド数などの詳細な情報が表示されます。

システム情報から確認
より詳細な情報が必要な場合は、「システム情報」ツールを使います。
手順:
- スタートメニューを右クリック。「ファイル名を指定して実行」を選択します。
msinfo32
と入力してOKをクリックします。- 「システム概要」の項目で、プロセッサの詳細情報を確認できます。
その他のスペック確認方法
CPUだけではありません。
- メモリ
- ストレージの種類(SSD/HDD)
この2つもPCの性能に大きく影響します。
これらのスペックもあわせて確認することで、PC全体の性能を総合的に判断できます。
- メモリ: タスクマネージャーの「メモリ」タブで、容量や使用状況を確認できます。
- ストレージ: タスクマネージャーの「ディスク」タブや、エクスプローラーの「PC」で、ストレージの種類や空き容量を確認できます。
自分に合ったRyzenを見つける
パソコンの性能はCPUスコアだけで決まるものではありません。
メモリ容量やストレージ種別によっても動作が変わってきます。
頭脳であるCPUが決まれば、あとは
- メモリ容量
- ストレージ種別
- グラフィックボードの有無
など利用用途に応じ選んでいただければと思います。
今回解説したRyzenの型番の読み解き方を参考に、自分にぴったりのCPUを見つけて、より快適なPCライフを送りましょう。
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- 外部リンク: AMD公式のRyzenシリーズ情報
- 外部リンク: CPU性能比較サイト「PassMark」
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