バックアップは、IT環境を維持する上で非常に重要な作業です。
しかし、
- 「バックアップの種類が多すぎて何を選べばいいかわからない」
- 「差分バックアップと増分バックアップの違いがよくわからない」
と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に、日々のデータ量が大きく増える企業や個人事業主の方にとっては、バックアップにかかる時間や容量は大きな課題となります。
今回の記事では、バックアップの主要な手法である「差分バックアップ」と「増分バックアップ」に焦点を当てます。
その違いを徹底的に比較解説します。
- それぞれのメリット、デメリット
- 最適な利用シーン
を理解することで、あなたに最適なバックアップ環境を構築する手助けとなるでしょう。
この記事を最後まで読めば、効率的かつ安全なバックアップ方法を選択できるようになります。
バックアップの種類を比較解説
バックアップにはいくつかの種類があります。
ここでは、代表的な3つの手法を比較して、その違いを明確に理解しましょう。
フルバックアップ(完全バックアップ)
フルバックアップは、指定したすべてのデータを丸ごとバックアップする方法です。
毎回、すべてのファイルをコピーするため、もっとも確実なバックアップ手法です。

- メリット: 復元が簡単で高速です。必要なデータがすべて1つのバックアップにまとまっているため、復元時に迷うことがありません。
- デメリット: 毎回すべてのデータをコピーするため、バックアップにかかる時間が非常に長く、必要なストレージ容量も大きくなります。日々のバックアップには現実的ではありません。
差分バックアップのメリットとデメリット
差分バックアップは、最後に取得したフルバックアップ以降に変更されたファイルや追加されたファイルのみをバックアップする方法です。
差分バックアップの仕組み
例えば、月曜日にフルバックアップを取ったとします。
火曜日の差分バックアップでは、月曜日以降に変更されたファイルだけをバックアップします。
水曜日の差分バックアップも、同様に月曜日以降に変更されたファイルだけをバックアップします。
つまり、常に最初のフルバックアップと比較して、差分を保存していきます。
- メリット:
- バックアップにかかる時間が比較的短いです。変更されたファイルだけをコピーするため、フルバックアップほど時間はかかりません。
- 復元が簡単です。復元時には「フルバックアップ」と「最新の差分バックアップ」の2つのバックアップが必要になりますが、増分バックアップよりも単純です。
- デメリット:
- 時間が経つにつれてバックアップに必要な容量が増えます。変更されたファイルが増えるほど、差分バックアップのデータ量も大きくなっていきます。
- 定期的なフルバックアップが必要です。フルバックアップがなければ、差分バックアップは機能しません。

増分バックアップのメリットとデメリット
増分バックアップは、最後に取得したいずれかの種類のバックアップ以降に変更されたファイルや追加されたファイルのみをバックアップする方法です。
増分バックアップの仕組み
例えば、月曜日にフルバックアップを取ったとします。
火曜日の増分バックアップでは、月曜日以降に変更されたファイルだけをバックアップします。
水曜日の増分バックアップは、火曜日のバックアップ以降に変更されたファイルだけをバックアップします。
このように、前のバックアップと比べて増えた分だけを保存していくのが増分バックアップです。
- メリット:
- バックアップにかかる時間がもっとも短い手法です。毎日更新されたデータだけを対象にするため、バックアップにかかる時間と容量が最小限で済みます。
- 必要なストレージ容量が非常に少ないです。毎日少しずつデータが増えるため、ストレージの節約になります。
- デメリット:
- 復元に時間がかかり、複雑になる可能性があります。データを復元するには、「フルバックアップ」と、その後のすべての「増分バックアップ」が必要になります。どれか一つでも欠けると、完全な復元ができません。
- 複数のバックアップファイルに依存するため、いずれかのファイルが破損していると、全体に影響が及ぶ可能性があります。

バックアップの効率を高めるコツ
差分バックアップと増分バックアップを効率的に活用し、バックアップにかかる時間とストレージ容量を最適化するポイントを解説します。
バックアップ計画の立て方
フルバックアップと差分・増分バックアップを組み合わせることで、効率的なバックアップ体制を構築できます。
- 週に一度のフルバックアップ: 週末など、時間に余裕があるときにフルバックアップを実行します。
- 平日の差分/増分バックアップ: 毎日、変更されたファイルだけを差分または増分でバックアップします。
これにより、バックアップにかかる時間と容量を抑えつつ、データの安全性を高めることが可能です。
バックアップ時間・容量の目安
バックアップの種類 | 時間の目安 | 容量の目安 |
フルバックアップ | 長い | 大きい |
差分バックアップ | 短い→長い | 少ない→多い |
増分バックアップ | 短い | 少ない |
バックアップの復元方法を解説
バックアップの目的は、何かあったときにデータを復元することです。ここでは、各バックアップ手法での復元方法を解説します。
差分バックアップからの復元
フルバックアップと、復元したい時点の差分バックアップの2つが必要です。
- まず、フルバックアップを復元します。
- 次に、差分バックアップを上書きして復元します。 この2ステップで復元が完了します。
増分バックアップからの復元
フルバックアップと、復元したい時点までのすべての増分バックアップが必要です。
- まず、フルバックアップを復元します。
- 次に、日時が古い順に、すべての増分バックアップを順番に適用していきます。 どれか一つでも欠けていると、その後のデータが復元できないため注意が必要です。

バックアップのベストプラクティス:3-2-1ルール
バックアップの業界で広く知られている「3-2-1ルール」は、データの安全性を高めるためのベストプラクティスです。
3-2-1ルールの意味と活用
このルールは、以下の3つのポイントを守ってバックアップを行うという考え方です。
- 3つのコピー: オリジナルのデータを含め、少なくとも3つのデータのコピーを作成する。
- 2つのメディア: 異なる2種類のストレージメディア(例:HDDとUSBメモリ、NASとクラウド)に保存する。
- 1つのオフサイト: 1つのバックアップを別の場所(オフサイト)に保管する。これにより、火災や災害などでデータが失われるリスクを回避できます。

バックアップの種類を使い分けて効率化
差分バックアップと増分バックアップは、フルバックアップを補完する非常に有効な手法です。
それぞれの特徴をまとめると以下の通りです。
項目 | 差分バックアップ | 増分バックアップ |
対象データ | フルバックアップからの変更点 | 前回のバックアップからの変更点 |
バックアップ時間 | 短い → 長い | 非常に短い |
ストレージ容量 | 少ない → 多い | 非常に少ない |
復元時間 | 短い | 長い |
復元に必要なファイル | フルバックアップ + 差分1回 | フルバックアップ + 増分すべて |
どちらを選ぶべきかは、バックアップにかける時間と、復元にかける時間のどちらを重視するかによって異なります。
バックアップを短く済ませたい場合は増分バックアップ。
復元を簡単にしたい場合は差分バックアップがおすすめです。
この記事で解説した内容を参考に、あなたのシステム環境に最適なバックアップ戦略を構築してください。
データの保護は、ビジネスの継続性や個人の大切な情報を守る上で、非常に重要なポイントです。