- 「シワやたるみをなくしたい」
- 「もっときれいになりたい」
そう思って美容クリニックに興味を持ったけれど、
- 「費用が高いんでしょ?」
- 「保険は使えないのかな?」
と感じていませんか?
確かに、多くの美容医療は病気を治すことではありません。
見た目をより美しくすることを目的としています。
そのため、公的医療保険の対象とならない「自由診療」となります。
全額自己負担になるため、費用が高額になるイメージが強いかもしれません。
しかし、中には
「機能の改善」を目的とする場合
特定の疾患に対して行われる美容医療もあります。
この場合では、健康保険が適用されるケースがあるのをご存知でしょうか?
あなたは、まさにその可能性について知りたいと思っているはずです。
この記事では、
- どんな美容医療が保険適用になるのか?(疾患別の具体的なケース)
- 保険適用となる条件や、自由診療との違い
- 保険適用で治療を受けるにはどうすればいいのか?
について、分かりやすく丁寧に解説します。
この記事を最後まで読んでいただければ、
- あなたの悩みや治療が保険適用の対象になる可能性があるのか
- 賢く美容医療を受けるための第一歩
が分かります。ぜひ読み進めてください。
美容医療に保険は使える?原則と例外について
美容医療と聞くと、「保険が使えない自由診療」というイメージが強いですよね。
それは大部分において正しいです。
美容医療の多くは、病気や怪我の治療とは異なります。
健康な状態からさらに見た目の美しさを追求することを目的としています。
公的医療保険は、病気や怪我を治療して健康を取り戻すための制度です。
審美性の向上を目的とした治療は保険の対象外となるのです。
このため、治療費は全額自己負担となります。
しかし、見た目の改善を目的とした治療の中にも、健康上の問題や機能的な障害を伴う場合があります。
このようなケースでは、治療の目的が「病気や怪我の治療」「機能の回復」と判断されることがあります。
よって、健康保険が適用されることがあるのです。
つまり、美容医療で保険が使えるかどうかは、「治療の目的が何か」によって決まります。
保険適用となる美容医療の具体的なケース【疾患別解説】
では、具体的にどのような疾患や症状の場合に美容医療で保険適用となる可能性があるのでしょうか。
代表的なケースをご紹介します。
眼瞼下垂(がんけんかすい)
まぶたが下がってきて、目が開きにくくなる状態です。
見た目の問題だけではありません。
- 視野が狭くなる
- 肩こりや頭痛の原因となる
など、機能的な障害を引き起こすことがあります。
- 保険適用となるケース: 主に、まぶたが瞳孔(黒目の中心)にかかっているなど、視野や機能に影響が出ていると医師に診断された場合。
- 自由診療となるケース: 主に、機能的な問題はなく、二重の幅を広げたい、目の開きを良くして目を大きく見せたいなど、審美性の向上を目的とする場合。
- 治療法: 余分な皮膚を切除したり、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)を縫い縮めたりする手術が一般的です。
腋臭症(わきが)・多汗症
わきの下から特有の臭いが発生する状態(腋臭症)
過剰な発汗(多汗症)
は、精神的な苦痛や生活上の支障となることがあります。
- 保険適用となるケース: 医師が重度の腋臭症や多汗症と診断し、機能的な障害(精神的な苦痛や日常生活への支障)があると判断した場合。
- 自由診療となるケース: 軽度の場合や、注射(ボトックスなど)による治療、レーザー治療、特定の高周波治療など、保険適用外の方法を選択する場合。
- 治療法: 保険適用では、主に手術による汗腺の切除などが行われます。
ニキビ跡
- 炎症性ニキビが治った後に残る
- 深いクレーター状の跡(萎縮性瘢痕)
- 盛り上がった跡(肥厚性瘢痕)
は、精神的な苦痛を伴う場合があります。
- 保険適用となるケース: ケロイド状の盛り上がった傷跡など、医学的に治療が必要と判断される一部の重度のニキビ跡や瘢痕。
- 自由診療となるケース: 多くのニキビ跡(色素沈着、軽い凹みなど)や、レーザー治療、ピーリングなど、審美性の改善を目的とした治療。
- 治療法: 保険適用となる瘢痕に対しては、手術やステロイド注射などが行われることがあります。一般的なニキビ跡治療は自由診療で行われます。
シミ・あざ
シミやあざも、種類や大きさ、発生部位によっては保険適用となることがあります。
- 保険適用となるケース:
- 生まれつき存在するあざ(太田母斑、異所性蒙古斑、扁平母斑、苺状血管腫など)で、疾患として治療が必要な場合。
- 火傷や外傷などによって生じた、機能的な問題や精神的な苦痛を伴う可能性のあるシミや色素沈着。
- 日光角化症など、前癌病変や皮膚疾患として治療が必要なシミ。
- 自由診療となるケース: 多くの老人性色素斑(一般的なシミ)、雀卵斑(そばかす)、肝斑など、主に審美性の改善を目的とした治療。
- 治療法: 保険適用となるあざやシミに対しては、レーザー治療や手術などが選択されます。
傷跡・ケロイド
怪我や手術などでできた傷跡が、盛り上がって痛みを伴ったり、関節の動きを妨げたりする場合。
- 保険適用となるケース: 肥厚性瘢痕やケロイドなど、病的な状態と診断され、痛みやかゆみ、引きつれなどの機能障害を伴う場合。
- 自由診療となるケース: 機能的な問題はないが、傷跡を目立たなくしたいなど、審美性の改善を目的とする場合。
- 治療法: 手術による切除、ステロイド注射、圧迫療法、シリコンシートなど。
陥没乳頭
乳頭が乳腺内に埋もれてしまっている状態です。
授乳機能に支障をきたしたり、衛生上の問題を引き起こしたりすることがあります。
- 保険適用となるケース: 授乳障害の原因となる場合や、衛生上の問題(炎症など)を繰り返す場合など、機能的な問題がある場合。
- 自由診療となるケース: 機能的な問題はないが、見た目を整えたい場合。
- 治療法: 手術によって乳頭を引き出す処置を行います。
その他のケース
上記以外にも、
- 生まれつきの体の変形
- 顔面神経麻痺による変形
- 乳房再建(乳がん術後など)
なども保険適用となる場合があります。
保険適用になる条件と自由診療との決定的な違い
同じような見た目の悩みでも、保険適用になる場合とならない場合があります。
この違いは、繰り返しになりますが「治療の目的」にあります。
- 保険適用: 病気や怪我の治療、機能の回復・改善を目的とする場合。
- 自由診療: 審美性の向上、見た目の改善のみを目的とする場合。
たとえ同じ治療法(例:レーザー治療、手術)を用いたとしても、診断名と治療の目的が異なれば、保険適用か自由診療かが分かれます。
【費用・治療内容の違い】
保険適用
- 費用:原則3割負担(年齢や所得によって異なる)。高額療養費制度の対象になる場合がある。
- 治療内容:病気を治す、機能を回復させるという目的に沿った、標準的な治療法が提供される。使用できる薬剤や機器に制限がある場合がある。
- 医師の選択肢:保険診療を行っている医療機関(形成外科、皮膚科、一部の美容外科など)で受けられる。
自由診療:
- 費用:全額自己負担(10割負担)。
- 治療内容:最新の機器や薬剤、多様な治療法の選択肢がある。患者の希望や医師の判断に基づき、最適な方法を選択できる。審美性の追求に特化した治療が可能。
- 医師の選択肢:自由診療を行っている美容クリニックや医療機関で受けられる。
また、「混合診療(同じ病気に対して保険診療と自由診療を同時に行うこと)」は原則として禁止されています。
例えば、眼瞼下垂の手術で保険適用となる範囲は保険診療で行います。
同時に二重の幅を広げるという審美的な目的の治療を自由診療で行う、
ということは基本的にできません。
もし両方の治療を希望する場合は、期間を分けたり、別々のクリニックで行ったりする必要がある場合があります
(詳細は医療機関にご確認ください)。
美容医療を保険適用で受けるには?【ステップ】
もし、あなたの悩みや症状が保険適用となる可能性があると感じたら、以下のステップを参考にしてみてください。
保険診療を行っている医療機関を探す
美容クリニックの中にも保険診療を行っているところはありますが、形成外科や皮膚科が保険診療を中心に診療していることが多いです。
「〇〇(お住まいの地域名) 形成外科 保険診療」
「〇〇 皮膚科 保険適用」
といったキーワードで検索してください。
日本形成外科学会などのウェブサイトで専門医を探したりするのも良いでしょう。
「美容医療 保険適用 どこ」
「美容医療 保険適用 クリニック」
といった検索も役立ちます。
まずは診察・相談を受ける
予約を取りましょう。
医師に症状や悩みを詳しく伝えて相談しましょう。
その際に、「保険適用になる可能性はありますか?」と率直に尋ねてみてください。
医師の診断を受ける
医師があなたの症状を診察し、診断名をつけます。
その診断に基づいて、保険適用となるか、自由診療となるかが判断されます。
治療方針と費用について説明を受ける
医師から提案される治療方針が保険適用になる場合は、費用の概算や治療内容について説明があります。
自由診療となる場合も、その旨と費用について医師から説明があります。
納得した上で治療を選択する
説明をよく聞き、保険適用で進めるか、自由診療を選択するか、あるいは他の方法を検討するかなど、ご自身の希望や状況に合わせて判断します。
重要なのは、自己判断せず、まずは専門医に相談することです。
医師があなたの症状を医学的に診断してもらいましょう。
保険適用となるかどうかを判断します。
知っておきたい注意点
保険適用治療の目的
保険適用となる治療は、「病気の治療」や「機能の回復」が主目的です。
そのため、必ずしも「最も見た目が美しくなる」ことを最優先とした治療法ではないのです。
審美性を追求したい場合は、自由診療の方が多様な選択肢があることが多いです。
医師による判断
保険適用となるかどうかは、最終的に医師の診断と判断によります。
同じ疾患名でも、医師によって判断が異なるケースもゼロではありません。
複数の医療機関で意見を聞いてみるのも一つの方法です。
情報収集の重要性
「美容医療と保険適用の見分け方」は難しい場合が多いです。
安易な情報に惑わされてはいけません。
信頼できる医療機関で相談することが最も重要です。
保険適用を謳い文句にしながら不適切な高額治療を勧めるケースも稀に耳にしますので、慎重に判断しましょう
あなたの悩みに合わせた最適な選択を
美容医療で保険が適用されるケースは限定的ですが、眼瞼下垂や重度のわきが、一部のあざや傷跡など、機能的な問題や疾患が関連する場合には適用される可能性があります。
もし、あなたが抱える悩みや症状が、単なる美容目的だけでなく、
- 日常生活に支障をきたしている
- 精神的な苦痛が大きい
といった場合は、保険適用となる可能性があります。
「私の悩みは保険適用になるのかな?」と疑問に思ったら、まずは自己判断せず、保険診療を行っている形成外科や皮膚科で専門医に相談してみましょう。
あなたの症状を正しく診断してもらい、保険適用での治療が可能か、あるいは自由診療の選択肢も含めて、ご自身の希望や状況に合わせた最適な治療法を見つけることが大切です。
この記事が、あなたが賢く美容医療を検討し、理想の自分に近づくための一助となれば幸いです。
【免責事項】 この記事で提供している情報は、一般的な知識に基づくものです。個々の症状や治療法については、必ず医療機関で医師の診断を受け、ご相談ください。
保険適用の可否は、医師の診断や治療内容によって異なります。
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