「もしかして、やっちゃったかも…?」
心当たりのないメールや怪しいメッセージ、いつもなら注意しているのに、ついクリックしてしまった。そんな経験、ありませんか?
もし今、この記事を読んでいるあなたがそんな状況なら、まず安心してください。
一人で悩む必要はありません。
不審なメールをクリックしてしまった後、何が起きるかわからず、不安に感じているかもしれません。
もしかしたら、もうマルウェアに感染してしまったのでは、と恐怖を抱いている方もいるでしょう。
今回のコラムでは、Windows PC、Mac PC、iPhone、Androidスマホといった各デバイスで不審なメールをクリックしてしまった場合に、すぐに取るべき対処法を、初心者の方にもわかりやすいように解説します。
そして、
- 被害の有無を確認する方法
- 二度と同じ被害に遭わないためのセキュリティ対策
まで、具体的に紹介していきます。
この記事を最後まで読み進めることで、正しい知識と適切な行動を身につけておきましょう。
不安を解消できるはずです。
それでは、一緒に解決への第一歩を踏み出しましょう。
不審なメールをクリックしたら何が起こる?
不審なメールのリンクや添付ファイルをクリックしてしまったとき、一体何が起こるのでしょうか?
慌ててしまう前に、まずはどのような危険性があるのかを理解しておくことが重要です。
主に、以下の3つのリスクが可能性として挙げられます。
フィッシングサイトへの誘導
最も一般的な手口の一つです。
送信元の企業やサービスを装った偽サイトに誘導されます。
- ログイン情報
- 個人情報
- クレジットカード情報
などを入力させられます。
この情報が第三者である犯罪者に渡ってしまい、不正に利用される危険性があります。

マルウェア感染
マルウェア(Malware)とは、悪意のあるソフトウェアの総称です。
ウイルスやスパイウェア、ランサムウェアなどが含まれます。
添付ファイルを開いた
リンク先の不正なサイトにアクセスした
こうした行動がきっかけで、デバイスに勝手にインストールされてしまうことがあります。
マルウェアに感染すると、
- データの盗難や破壊
- 遠隔操作
- 金銭を要求される
など、深刻な被害に繋がる可能性があります。

個人情報の漏洩
フィッシングサイトへの誘導と同様に、メールアドレス自体がスパムメールのリストに追加される。
メールの本文に記載された追跡用のコードが実行される。
こうした結果、
- メールを開いた事実
- IPアドレス
などの情報が犯罪者に知られてしまうことがあります。

不審なメールをクリックしてしまった直後の対処法
「しまった!クリックしてしまった!」そう気づいた時が重要です。
冷静になりましょう。
直ちに以下の手順を実行しましょう。
インターネット接続を切断する
まず、パソコンやスマホのインターネット接続を切断してください。
Wi-Fiの場合はルーターの電源を切る。
- Wi-Fi接続をオフに。
- 有線LANの場合はケーブルを抜きます。
これは、マルウェアの外部への通信や、個人情報の送信を遮断するために最も有効な手段です。

パスワードの変更
フィッシングサイトにログイン情報を入力してしまった可能性がある場合、直ちにそのアカウントのパスワードを変更してください。
同じパスワードを複数のサービスで使い回している場合は、関連するすべてのアカウントのパスワードを変更することが必要です。
パスワードマネージャーを利用すると、複雑なパスワードの管理が簡単になります。

デバイスの再起動
不審なプログラムやスクリプトの実行を停止させるため、デバイスを再起動しましょう。
再起動後、セキュリティソフトを導入している場合は、詳細なスキャンを実行します。
被害の有無を確認する具体的な方法
対処法を行い終えたら、次に被害が発生していないかを確認しましょう。
セキュリティソフトでスキャンする
パソコンやスマホにセキュリティソフトやセキュリティアプリがインストールされている場合は、フルスキャンを実行してマルウェア感染の有無をチェックします。
検出された場合は、隔離または削除の手順に従いましょう。
もしセキュリティソフトを導入していない場合は、無料のウイルス対策ソフトを試しにインストールしてスキャンを実行することも可能です。

アカウントのログイン履歴を確認
不正アクセスの有無を確認するために、利用しているサービスのアカウントのログイン履歴や活動をチェックしましょう。
覚えのない場所やデバイスからのログイン、パスワードの変更履歴などが見つかった場合は、不正アクセスの可能性が高いです。

クレジットカードの利用明細を確認
フィッシング詐欺でクレジットカード情報を入力してしまった場合は、直ちにオンラインの利用明細を確認しましょう。
身に覚えのない請求があれば、クレジットカード会社に連絡して対応を依頼します。
【被害別】不審なメールに起因する被害に遭ってしまった場合の対処法
万が一、金銭的な被害や情報漏洩などの深刻な被害に遭ってしまった場合は、以下の手順を行います。
フィッシング詐欺による金銭的被害
フィッシング詐欺により銀行口座やクレジットカードの情報が盗まれてしまうことがあります。
不正な引き落としや利用が発生した場合。
直ちに銀行やクレジットカード会社の窓口に連絡してください。
利用停止や補償について相談してください。
不正アクセスによるアカウント乗っ取り
SNSやオンラインサービスのアカウントが乗っ取られた場合は、サービスのサポートページから不正アクセスの報告を行いましょう。
アカウントの復旧を試みます。
問い合わせには本人確認が必要となるケースが多いです。
そのため、身分証明書などを用意しておきましょう。
警察や専門機関に相談
金銭の被害や深刻な情報漏洩があった場合は、最寄りの警察に被害届を提出することを検討します。
警察庁のサイバー犯罪対策窓口でも相談を受け付けています。
また、情報処理推進機構(IPA)もセキュリティの相談窓口を提供しています。
なぜ不審なメールに騙されてしまうのか?巧妙化する手口と見分け方
不審なメールの手口は日々巧妙化しており、プロでも見分けるのが難しくなってきています。
特に2024年から2025年にかけては、AIを活用した事例が増えています。
- より個人を特定した標的型の攻撃
- 実在する企業のホームページやシステムとそっくりな偽サイトを作られる
こんな手口が増加しています。
詐欺サイトの見分け方を徹底解説!偽サイト・通販詐欺の手口と被害を防ぐセキュリティ対策
2025年に特に注意すべき不審なメールの手口
- AIによる自然な日本語のなりすまし:これまでの不審なメールは不自然な日本語が多く、見分けやすい点がありました。しかし、AIの技術が進化したことで、まるで本物が書いたような自然な文章で送信されるケースが増えています。
- 実在する企業や個人のドメインを偽装:メールアドレスのドメイン(@以降の部分)を、実在する企業のものとほとんど同じに偽装する手口です。一見すると本物と思ってしまいがちです。
- 添付ファイルの新種マルウェア:巧妙な手口で添付ファイルを開かせます。これらのファイルから新種のマルウェアを感染させます。セキュリティソフトがまだ検出できない新しい型のマルウェアも増えています。
不審なメールを見分けるためのポイント
- 送信元のメールアドレスを確認:一見、大手企業やサービスから届いたように見えても、送信元のアドレスを詳細に確認してみましょう。正規のドメインと少し違う文字が含まれていたり、不自然な文字列が記載されていたりします。
- 件名や本文に違和感がないか:「至急」「重要」「緊急」「最終警告」など、受けた人の不安を煽る文面や、不自然な日本語がないかチェックします。
- リンク先のURLを確認:本文中のリンクにマウスのカーソルを合わせると、実際のURLが表示されます。公式のURLと異なるドメインでないか確認しましょう。
二度と被害に遭わないためのセキュリティ対策
一度被害に遭ってしまうと不安な毎日を過ごすことになりかねません。
しかし、事前に対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。
セキュリティソフトの導入
パソコンにもスマホにも、ウイルス対策や不正アクセスの検知機能を備えたセキュリティソフトを導入しましょう。
常に最新の状態にアップデートしておくことが重要です。
Windows 11にセキュリティソフトは本当に不要か?結論から解説
OSやアプリのアップデート
OSやアプリケーションを常に最新のバージョンに保ちましょう。
アップデートには、セキュリティ上の脆弱性(システムの弱点)を改善する目的も含まれています。
放置すると、サイバー犯罪者に狙われやすくなります。
SSDが突然壊れる?Windows 11のアップデートが引き起こす深刻な不具合と回復の全ガイド
二段階認証の設定
ログインする際にIDとパスワードに加え、メールやSMSで送られてくる認証コードを入力する二段階認証を設定しましょう。
仮にパスワードが盗まれても、不正なアクセスを防ぐことができます。
多要素認証(MFA)の導入ガイド|初心者でもわかる設定方法と仕組み
迷惑メールフィルタリング機能の活用
メールサービスには迷惑メールを自動で判別し、ブロックする機能が備わっています。
フィルタリングの設定を強化することで、不審なメールが届くこと自体を減らすことが可能です。
情報収集と教育
IPA(情報処理推進機構)や総務省などが公開しているセキュリティに関する情報を日頃からチェックしましょう。
最新の詐欺手口を知ることが予防に繋がります。
会社員であれば社内のセキュリティ教育にも積極的に参加することが推奨されます。

【Q&A】不審なメールに関するよくある質問
Q1. 不審なメールを開いてしまっただけで、マルウェアに感染しますか?
A. メールを開いただけで感染する可能性は低いです。
一般的に、
- 添付ファイルを開く
- 本文中のリンクをクリックする
- 画像を表示させる
などの行動を行わないと感染することはありません。
しかし、HTML形式のメールに悪意のあるスクリプトが仕込まれているケースも存在します。
そのため、怪しいと感じたらすぐに削除し、開かないように注意しましょう。
Q2. どのセキュリティソフトがおすすめですか?
A. 多くのセキュリティソフトが販売されていますが、
- Windows PC向けでは「Microsoft Defender」
- Mac向けでは「Intego Mac Internet Security」
- スマホ向けでは「ノートン 360」
などが人気です。
それぞれの特徴や価格を比較し、ご自身の使い方にあったものを選びましょう。
私個人は、カスペルスキーを推奨しています。
Q3. 不審なメールに返信してしまいました。どうすればいいですか?
A. 返信してしまった場合でも、慌てず落ち着いてください。
直ちにそのメールアドレスをブロックしてください。
今後のメールを受け取らないように設定しましょう。
返信した内容によっては、個人情報が漏えいした可能性もあります。
そのため、パスワードを変更するなどの対策を行いましょう。
Q4. フィッシングメールかどうか判断が難しくて困っています。
A. フィッシングメールは本物と見分けるのが難しくなっています。
少しでも違和感を感じたら、メールに記載されているURLをクリックするのではなく、検索エンジンで企業名を検索して公式サイトに直接アクセスしてください。
まずは、正確な情報を確認しましょう。
不審なメールをクリックしても慌てずに!
不審なメールをクリックしてしまった時、一番やってはいけないのは一人で不安を抱え込み、何も行動しないことです。
最も重要な点は、冷静になること。
この記事に記載されている対処法を速やかに行い、被害を最小限に抑えることです。
また、日頃からセキュリティ対策を強化しておきましょう。
正しい知識を身につけておくことが、今後の予防に繋がります。
このコラムが、あなたの不安を軽減し、正しい対処を行うための一助となれば幸いです。
もし周りに同じような悩みを抱えている人がいたら、ぜひこの記事を共有してあげてください。
参考リンク
- IPA(情報処理推進機構)セキュリティセンター: https://www.ipa.go.jp/security/
- 警察庁フィッシング対策協議会: https://www.npa.go.jp/cyber/policy/
- 総務省国民のための情報セキュリティサイト: https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/
- フィッシング対策協議会: https://www.antiphishing.jp/