「NASを導入したいけど、どのHDDを選べばいいの?」と迷っていませんか?NASは、家庭や小規模オフィスでのデータ共有やバックアップに非常に便利な機器ですが、その性能を最大限に引き出すためには、NASに最適なHDDを選ぶ必要があります。
通常のHDDとは違い、NAS用HDDは24時間365日稼働することを前提に設計されており、高い耐久性や安定性が求められます。しかし、メーカーやモデルがたくさんあり、どれを選んだらいいのか初心者には難しいと感じるかもしれません。
この記事では、NAS用HDDの選び方を、容量、メーカー、価格、信頼性といった様々な観点から詳しく解説します。WD RedやSeagate IronWolfといった主要なメーカーの人気モデルを比較しながら、あなたの用途に合ったHDDを見つける方法を紹介します。この記事を読んで、NASの導入を成功させ、
安心してデータを管理できる環境を手に入れましょう。
1. NAS用HDDとは?
NASは、ネットワークに接続するだけで複数のパソコンやスマホからアクセスできるストレージです。
しかし、NASの性能は、その中に搭載するHDDによって大きく左右されます。
ここでは、NAS用HDDが普通のHDDとどう違うのかを解説します。
通常のHDDとの違い
NAS用HDDは、一般的なパソコン用のHDDとは異なる点がいくつかあります。
- 24時間365日の連続稼働を前提とした設計: パソコン用のHDDは、通常はパソコンの電源が入っているときにのみ動作しますが、NASは基本的に常時稼働させておくため、NAS用HDDは連続稼働に耐えられるように設計されています。
- 振動対策: 複数のHDDを搭載する場合、HDD同士の回転による振動が互いに影響し合い、性能低下や故障の原因となります。NAS用HDDは、この振動を軽減する機能を搭載しています。
- 耐熱性: NASは密閉された筐体にHDDを複数搭載するため、熱がこもりやすいです。NAS用HDDは、熱による劣化を防ぐ設計がされています。
NAS用HDDのメリット
- 高い耐久性と信頼性: 長時間稼働を前提とした設計により、故障のリスクが低く、データの長期保存に適しています。
- 安定したパフォーマンス: RAID構成時のパフォーマンスが安定し、複数のユーザーが同時にアクセスしても速度が低下しにくいです。
- 充実した保証: メーカーがNASでの使用を推奨しているため、通常のHDDよりも保証期間が長く設定されている場合が多いです。
NAS用HDDの失敗しない選び方【5つのポイント】
NAS用HDDを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。
ポイント1:容量の選択
NAS用HDDの容量は、用途によって適切なサイズが異なります。
- 2TB~4TB: 写真や動画のバックアップ、家族でのデータ共有など、個人での使用や家庭向けに最適な容量です。
- 6TB~10TB: 動画編集や高画質な映像素材を扱うクリエイター、または小規模なオフィスでのデータ共有におすすめです。
- 12TB以上: 監視カメラの映像や大量のアーカイブデータを保存するなど、大容量のデータを扱う法人やプロのユーザーに向いています。
RAIDを使用する場合は、実質的な利用可能容量が少なくなることを考慮して選びましょう。
例えば、4TBのHDDを2台でRAID1を構成すると、使用可能容量は4TBとなります。

ポイント2:メーカーとシリーズの違い
NAS用HDDの主要なメーカーは、
- Western Digital(WD)
- Seagate(シーゲイト)
そして東芝(TOSHIBA)です。

メーカー | シリーズ | 主な特徴 |
Western Digital | WD Red Plus | NASでの使用に特化したモデル。安定性と耐久性に優れています。 |
WD Red Pro | より高速で、大規模なNASや法人向け。5年の長期保証が魅力。 | |
Seagate | IronWolf | NASでの安定したパフォーマンスを実現するモデル。データ復旧サービスが付帯している点も人気。 |
IronWolf Pro | 大容量で高性能。IronWolfより回転数が高く、速度が速いです。 | |
東芝 | MNシリーズ | NASでの使用を考慮した設計。高い耐久性と信頼性が特徴。 |
ポイント3:RPM(回転数)とパフォーマンス
HDDの速度は、ディスクの回転数(RPM)によって決まります。
NAS用HDDでは、主に5400rpmと7200rpmの2種類があります。

ポイント4:メーカーごとの技術と機能
主要なメーカーは、NASでの使用に特化した技術を搭載しています。
- Western Digital: WD Redシリーズは、「NASware」という技術を搭載しており、RAID構成時のエラーを適切に管理し、互換性を高めています。
- Seagate: IronWolfシリーズは、「IronWolf Health Management」という機能を搭載し、Synologyなどの対応NASと連携してHDDの健康状態を監視し、故障の予測を行います。
- 東芝: MNシリーズは、振動を抑える技術が採用されており、複数台搭載する際も安定した動作を実現します。
ポイント5:保証とデータ復旧サービス
HDDは精密機器のため、故障は避けられません。
万が一の場合に備えて、保証やデータ復旧サービスを確認しておくことは重要です。
- 保証期間: NAS用HDDは、通常3年から5年の保証期間が設定されています。長期保証があるモデルを選ぶことで、安心して使うことができます。
- データ復旧サービス: SeagateのIronWolfシリーズには、メーカーによるデータ復旧サービス「Rescue」が付帯しているモデルがあります。これは、HDDが故障した場合でも、データを復旧できる可能性があるサービスです。
用途別おすすめNAS用HDDモデル【2025年最新】
ここからは、用途別におすすめのNAS用HDDを紹介します。
家庭でのデータ保存やバックアップ向け
静音性とコストパフォーマンスを重視する家庭向けのおすすめモデルです。
- Western Digital WD Red Plus: NAS用HDDの定番です。安定性と信頼性が高く、初心者でも安心して使えます。5400rpmで静かな動作が魅力です。
- Seagate IronWolf: WD Red Plusと同様の位置づけで、高い耐久性とデータ復旧サービスが付帯している点が強みです。価格やNASのメーカーとの相性で選びましょう。

動画編集やクリエイター向け
データの読み書き速度と安定性を重視するクリエイター向けのおすすめモデルです。
- Western Digital WD Red Pro: WD Red Plusよりも高速な7200rpmで、大容量のファイルを頻繁に扱う動画編集に向いています。
- Seagate IronWolf Pro: 高速なパフォーマンスとデータ復旧サービスが魅力です。複数のユーザーが同時にアクセスする環境でも、安定した速度を実現します。
- 東芝 MNシリーズ: 7200rpmで高速かつ、振動を抑える技術により、マルチドライブ構成でも安定した動作が期待できます。

知っておきたい!NAS用HDDの豆知識💡
RAID構成はデータの保険
NASに複数のHDDを搭載する一番のメリットは、RAID(Redundant Array of Independent Disks)を組めることです。
RAIDは、複数のHDDをひとつのドライブのように扱う技術です。
データの冗長性を確保します。
万が一の故障に備える「保険」のようなものです。

メーカーごとの相性があるって本当?
実は、NASのメーカーとHDDのメーカーには相性があります。
SynologyやQNAPなどの主要なNASメーカーは、特定のHDDの動作確認を公式サイトで公開しています。
互換性リストに記載されているHDDを選ぶことで、パフォーマンスの低下やトラブルを未然に防ぎます。
安心して利用できます。

NASは「データの守り神」
NASは単なるデータの保存場所ではありません。
まるで自分だけの「データの守り神」のように、家中のパソコンやスマホのデータを自動でバックアップします。
どこからでもアクセスできるようにしてくれます。
特に、
- 旅行で撮った大量の写真を家族と共有したい
- 離れた場所にいる友人と動画ファイルをやり取りしたい
こんな時に、その便利さを実感できるでしょう。

NAS用HDDに関するよくある質問
Q1. NASの容量はどれくらい必要ですか?
A. NASの容量は、使用するユーザーの数と保存するデータの種類によって変わります。
写真やドキュメントが中心であれば2TBから4TBで十分です。
4K動画などを保存する場合は、8TBや10TB以上の大容量を検討することをおすすめします。
今後のデータ増加も考慮して、少し大きめの容量を選ぶのが良いでしょう。

Q2. NAS用と通常のHDD、どちらを使ってもいいですか?
A. 通常のHDDを使うことも可能ですが、NAS用HDDを使うことを強くおすすめします。
通常のHDDは24時間稼働を想定していないため、熱や振動に弱く、故障のリスクが高くなります。
大切なデータを守るためには、NAS専用に設計されたHDDを選ぶべきです。
Q3. NAS用HDDの寿命はどれくらい?
A. NAS用HDDの寿命は、メーカーが想定している使用環境と負荷により、3年から5年程度と言われています。
ただし、これはあくまで目安です。
HDDの健康状態は、NASの管理画面から確認できるS.M.A.R.T.情報などをチェックすることで把握できます。
故障の前兆があれば、早めの交換を検討しましょう。
Q4. RAIDって何ですか?
A. RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のHDDを組み合わせて、データの冗長性やパフォーマンスを向上させる技術です。
RAID1はミラーリングと呼ばれます。
2台のHDDに同じデータを保存するため、1台故障してもデータが安全に守られます。
RAID5は3台以上のHDDで構成されています。
データの保存とパフォーマンスのバランスが取れた方式です。
まとめ
NAS用HDDは、NASの性能と信頼性を左右する重要なパーツです。
この記事で解説した選び方を参考に、あなたの用途に合ったHDDを見つけて、安心してデータを管理できる環境を構築しましょう。
