「動画編集を始めたいけれど、どのパソコンを買えばいいか分からない…」
「どんなスペックが必要なの?」
そんな悩みを抱えていませんか?
この度は、動画編集を目的としたパソコン選びで失敗しないためのガイドを作成しました。
今回の記事では、あなたの目的に合ったパソコンを見つけるための知識を詳細に解説します。
私自身、複数のノートパソコンを実際に購入し、それぞれの用途に応じて使い分けている経験から、生きた情報を提供します。
この記事を読めば、専門用語が分からなくても、自分に合った最適な一台を見つけるための確かな知識を身につけられるはずです。
動画編集パソコン選びの知識
動画編集に適したパソコンを選ぶためには、いくつかの基本的な知識が必要です。
この章では、動画編集に影響する主要なパーツについて、その役割と選び方のポイントを解説します。
動画編集における各パーツの役割
動画編集は、パソコンの各パーツが連携して初めてスムーズに行える作業です。
ここでは、特に重要な4つのパーツについて見ていきましょう。

CPUの選び方と役割
CPU(中央演算処理装置)は、パソコンの「頭脳」にあたる部分です。
動画のエンコードやレンダリングといった複雑な計算処理を担う重要なパーツになります。
CPUは動画編集ソフトの動作速度や書き出し時間に大きく影響します。
動画編集の効率は、このCPUの性能によって大きく左右されます。
- Intel Core i5 / AMD Ryzen 5: フルHD動画の編集であれば、このクラスのCPUで十分に作業が可能です。ただし、エフェクトを多用したり、同時に複数のソフトを立ち上げたりすると、やや動作が遅くなる可能性があります。
- Intel Core i7 / AMD Ryzen 7: 4K動画の編集を検討している場合、このクラスのCPUが最適です。マルチコア性能が非常に高く、複数の作業を同時に行ってもスムーズに処理できます。多くの動画編集者がメイン機として使用しているグレードです。
- Intel Core i9 / AMD Ryzen 9: 8Kのような超高解像度動画や、3Dグラフィックを多用する本格的な映像制作を行う方におすすめの最上位モデルです。処理能力が非常に高く、作業時間を大幅に短縮できます。
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GPUの選び方と役割
GPU(グラフィック処理ユニット)は、映像の描画やエフェクト処理を専門に行うパーツです。
動画編集においては、プレビュー画面のスムーズさやエフェクトの適用速度に大きく影響します。
特にDaVinci Resolveのようなソフトウェアでは、GPUの性能が作業の快適さを決める重要な要素になります。
- CPU内蔵グラフィックス: Intel Iris Xe GraphicsやAMD Radeon Graphicsなど。フルHDの簡単な編集であれば問題なく使用できますが、複雑なエフェクトや4K編集には力不足です。
- 単体GPU: NVIDIA GeForce RTXシリーズやAMD Radeon RXシリーズ。これらは動画編集用に設計されており、非常に強力な処理能力を持っています。Adobe Premiere Proでは、GPUの性能が書き出し時間やエフェクト処理の速度に直接影響するため、本格的に動画編集を行うなら必須です。
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メモリ容量は作業効率に直結
メモリは、動画編集の「作業机の広さ」です。
動画編集作業は、多くのデータを一時的に処理するため、メモリ容量が非常に重要です。
机が広ければ、複数の素材やソフトを同時に広げてもスムーズに作業できます。
- 8GB: Webサイトやメールの閲覧、簡単な文書作成などの一般的な用途には十分ですが、動画編集にはほぼ不足します。多くのソフトを同時に開くとすぐに動作が遅くなります。
- 16GB: フルHDの動画編集を行う上で最低限必要なメモリ容量です。多くの動画編集ソフトの推奨スペックも16GB以上とされており、これがあれば基本的な作業は快適に行えます。
- 32GB以上: 4Kや8Kの高解像度動画を扱う場合や、複雑なエフェクトやトランジションを多用する場合は、32GB以上のメモリが推奨されます。特にプロ向けソフトを使用する際は、32GB以上あるとプレビューや書き出しの速度が大幅に向上します。
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高速なSSDは必須
ストレージは、動画素材やプロジェクトファイルを保存する場所です。
読み書き速度が速いSSDは、HDDと比較して、動画編集の作業効率を格段に向上させます。
- SSD (Solid State Drive): パソコンの起動やソフトの立ち上がりが非常に速いのが特徴です。動画素材の読み込みやプレビューもスムーズになり、作業中のストレスを大きく減らせます。
- HDD (Hard Disk Drive): データの読み書き速度はSSDより遅いですが、大容量で安価なため、完成した動画やバックアップデータなど、長期保存用として活用するのがおすすめです。
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適切なスペックを見極めるための目安
動画編集用パソコンを選ぶ際、最も重要なのは「どのレベルの動画を編集したいか」を明確にすることです。
ここでは、動画のレベルに応じたスペックの目安を解説します。
フルHD動画の編集レベル
- YouTube投稿
- SNS用ショート動画
- 個人の思い出動画
など、フルHD(1920×1080)解像度の動画を主に編集する方向けです。
- CPU: Intel Core i5 / AMD Ryzen 5以上
- GPU: 単体GPU(NVIDIA GeForce RTX 4050など)
- メモリ: 16GB
- ストレージ: SSD 512GB以上

4K動画の編集レベル
高品質な映像を制作したい方や、仕事として動画編集を行いたい方向けです。
4K(3840×2160)解像度の動画をメインに扱います。
- CPU: Intel Core i7 / AMD Ryzen 7以上
- GPU: NVIDIA GeForce RTX 4060以上
- メモリ: 32GB
- ストレージ: SSD 1TB以上

8K動画の編集レベル
映画やCM制作、3DCG、VFXなど、最高品質の映像制作を行う方向けです。
- CPU: Intel Core i9 / AMD Ryzen 9以上
- GPU: NVIDIA GeForce RTX 4080以上
- メモリ: 64GB以上
- ストレージ: 高速なNVMe SSD 2TB以上

あなたの目的に合ったPCの選び方
PCのスペックだけでなく、どのようなタイプを選ぶかも重要です。
持ち運びやすさや拡張性など、あなたの使い方に合ったPCを選びましょう。
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目的別のPCタイプ
持ち運びに便利なノートパソコン
場所を選ばずに作業ができる携帯性が大きなメリットです。
外出先やカフェ、出張先での作業がメインのクリエイターに向いています。
最近は高性能なモデルも増え、ある程度の複雑な編集も可能です。
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最高の性能を求めるデスクトップ
ノートパソコンよりも高い性能を比較的安価に手に入れられるのが大きなメリットです。
自宅やオフィスなど、決まった場所で作業することが多い方におすすめです。
パーツのアップグレードやカスタマイズがしやすく、将来的な拡張性にも優れています。

動画編集ソフトとスペックの関係
主要な動画編集ソフトによって、必要とされるパソコンのスペックは大きく異なります。
ここでは、代表的なソフトごとに推奨スペックと選び方のポイントを解説します。
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Adobe Premiere Proの推奨スペック
Adobe Premiere Proは、YouTubeから映画制作まで、世界中のプロのクリエイターに広く使われている動画編集ソフトです。
たくさんの高度な機能が搭載されている分、パソコンにも高い性能が求められます。
特に、映像を滑らかに動かすためのグラフィック性能(GPU)と、複雑な計算を素早く処理するための頭脳(CPU)の両方が非常に重要になります。
たとえるなら、CPUは「料理のレシピを考えるシェフ」、GPUは「実際に料理を作る調理師」のような関係です。
シェフがどれほど優秀でも、調理師の腕が悪ければおいしい料理は完成しません。
Premiere Proでは、このシェフと調理師の両方が優秀であることが求められます。
- CPU: Intel Core i7かAMD Ryzen 7以上のグレードが推奨されます。このレベルのCPUを搭載していれば、映像の書き出しやエフェクトの処理がスムーズに行え、待機時間が大幅に減ります。
- GPU: NVIDIA GeForce RTXシリーズやAMD Radeon RXシリーズといった、映像処理に特化した高性能なグラフィックボードが必須です。これが映像のプレビューをカクつきなく再生し、高度なエフェクトを素早く適用する鍵となります。
- メモリ: 32GB以上あると、複数の動画素材やエフェクトを同時に扱っても、パソコンが重くなることなく快適に作業できます。机の広さに余裕を持たせることで、ストレスなく編集を進められるでしょう。
- ストレージ: 高速なSSDがおすすめです。特に容量は1TB以上あると安心です。動画素材はデータ量が非常に大きいため、SSDに保存することで、素材の読み込みやプロジェクトファイルの保存が速くなり、作業効率が格段に向上します。
Premiere Proを快適に使うためには、パソコンの各パーツがバランス良く、高い性能を備えていることが大切です。

DaVinci Resolveの推奨スペック
DaVinci Resolveは、色の調整機能(カラーグレーディング)が特に優れています。
映画やCM制作でも使われるほど高性能なソフトです。
無料版でもプロレベルの機能が使えるため、多くのクリエイターに愛用されています。
このソフトは、特にグラフィックの処理能力を大きく必要としています。
そのため、GPUの性能が作業の快適さを決める最も重要なポイントになります。
たとえるなら、DaVinci Resolveは「超高性能な画材セット」です。
どんなに素晴らしいアイデアがあっても、画材が不十分だと、思い通りの作品は作れません。
DaVinci Resolveを最大限に活かすためには、GPUという「最高の筆」を用意することが不可欠です。
- CPU: Intel Core i7かAMD Ryzen 7以上の性能が推奨されます。多くの計算処理はGPUが行いますが、CPUも動画の読み込みや一部の処理を担うため、十分な性能が必要です。
- GPU: NVIDIA GeForce RTXシリーズやAMD Radeon RXシリーズといった、単体グラフィックボードの搭載が必須です。特に複雑なカラー調整やエフェクトを多用する場合、このGPUの性能がプレビューや書き出しのスピードに直結します。
- メモリ: 32GB以上あると、複数の複雑なエフェクトや高解像度動画を同時に扱っても、スムーズな動作を維持できます。
- ストレージ: 高速なSSDが推奨されます。特に1TB以上の容量があると安心です。大量の動画素材やプロジェクトファイルを素早く読み込むことで、編集作業を効率的に進めることができます。
DaVinci Resolveを使うなら、他のソフト以上にGPUの性能を重視してパソコンを選ぶことが、快適な編集環境を構築する上で最も大切な点です。

Final Cut Proの推奨スペック
Final Cut Proは、Appleが開発したMac専用の動画編集ソフトです。
Macのために作られているため、パソコンに搭載されているAppleのMシリーズチップの性能を最大限に引き出してくれます。
シンプルで直感的な操作感が魅力で、Macユーザーに非常に人気があります。
Final Cut Proを動かす上での最大の強みは、CPUやGPU、メモリなどが統合されたMシリーズチップの存在です。
これにより、各パーツの連携が非常にスムーズで、効率的な動画編集を実現します。
たとえるなら、Mシリーズチップは「最高のパフォーマンスを発揮するために、すべてが一体化したスポーツカーのエンジン」です。
各パーツが最高の状態で連携するため、非常に速く、パワフルな動きが可能です。
- CPU: Apple M3またはM4チップを搭載したモデルが推奨されます。これらの最新チップは、電力効率が高く、発熱を抑えながらも非常に高い処理能力を発揮します。
- メモリ: 16GB以上あると、4K動画の編集でも問題なく動作します。Mシリーズチップはメモリを効率的に使うため、Windows PCと比べて同じ作業でも少なめのメモリ容量で済みます。
- ストレージ: 高速なSSDが搭載されています。Final Cut Proで快適に作業するには、データの読み書きが速いSSDが必須です。容量は512GB以上あると、素材をたくさん保存できるため安心です。
Final Cut Proは、Apple製品という一つのメーカーで完結しているため、パソコン選びが比較的シンプルです。
Macユーザーで動画編集を始めたい方には、非常に良い選択肢と言えるでしょう。

実際の私のPCと使い分け
動画編集の作業は、その内容や場所に応じて適したPCが異なります。
ここでは、私が実際に複数のノートパソコンを使い分けている事例を紹介します。
- ASUS Vivobook Pro 15 OLED: このモデルは、美しい有機ELディスプレイを搭載し、発色が非常に優れています。そのため、色味の調整や、より高い品質が求められる映像制作に使用しています。高性能なGPUも搭載しているため、書き出しやレンダリングも快適です。
- MSI Modern 14 H D13M: このPCは、非常に軽量で持ち運びやすいのが特徴です。主に外出先での動画素材の整理や簡単なカット編集、会議など、場所を問わない作業に使っています。単体GPUは搭載していませんが、高性能なCPUのおかげでスムーズに作業ができます。
- HP Pavilion Aero 13-bg: 驚くほど軽いこのモデルは、もっぱらアイデア出しや企画書作成といった、動画編集作業の準備段階で活用しています。カフェなどでの作業が多く、長時間のバッテリー駆動と軽さを重視したいときに重宝します。

動画編集PCに関するよくある質問
動画編集用パソコンを選ぶ際に、多くの人が抱く疑問に答えます。
Q1. ノートパソコンとデスクトップパソコン、どっちがいい?
A. 用途によって最適な選択肢が異なります。
- ノートパソコン: 持ち運びの便利さを重視する方。外出先での作業や、自宅の様々な場所で作業したい方におすすめです。
- デスクトップパソコン: 最高のパフォーマンスと将来的な拡張性を求める方。自宅やオフィスなど、決まった場所で作業することが多い方におすすめです。

Q2. 初心者におすすめの予算は?
A. 15万円〜25万円が目安です。
- 10万円以下: 予算を抑えられますが、動画編集には性能が不足することが多いです。
- 15万円〜25万円: この価格帯であれば、Core i7/Ryzen 7、メモリ16GB、SSD512GB以上など、フルHDの動画編集を快適に行える十分なスペックのモデルが見つかります。
- 30万円以上: 4K編集や高度な作業を考えている方におすすめです。高性能なGPUや大容量メモリを搭載したモデルが選択肢に入ります。

Q3. メモリ8GBでも動画編集できる?
A. 可能です。
しかし、おすすめしません。
フルHDの短い動画やシンプルなカット編集のみであれば、8GBでも一時的に作業は可能です。
しかし、プレビューがカクついたり、書き出しに非常に時間がかかったりと、作業効率が悪くなることが多いです。
今後のことを考えると、最低でも16GB、できれば32GBのメモリを搭載したモデルの購入を強く推奨します。

Q4. BTOパソコンって何?
A. BTOは「Build to Order」の略で、受注生産パソコンのことです。
メーカーが用意した基本構成をベースに、
- CPU
- メモリ
- ストレージ
- GPU
などを自由にカスタマイズして購入できます。
これにより、自分の予算や用途に合わせた最適なスペックのPCを手に入れることができます。
動画編集PCを探す上で、BTOメーカーは有力な選択肢の一つです。

Q5. 中古や中古パソコンは動画編集に使える?
A. 使用可能ですが、注意が必要です。
中古パソコンは価格が安いのが大きなメリットですが、以下の点に注意が必要です。
- 性能: 古い世代のCPUやGPUでは、最新の動画編集ソフトが快適に動作しない可能性があります。
- 状態: バッテリーの劣化や、パーツの故障リスクがあります。
- 保証: 新品と比べて保証期間が短い、もしくは保証がない場合があります。 動画編集はPCに高い負荷がかかるため、初心者の方は新品の購入を強く推奨します。

まとめ:最適なPC選びのポイント
今回の記事では、動画編集に必要なPCスペックに焦点を当て、各パーツの役割や選び方、予算の目安を詳しく解説しました。
動画編集の快適さは、パソコンのスペックによって大きく変わります。
この記事で得た知識を参考に、あなたの目的や予算に合った最適な一台を見つけ、快適な動画編集ライフを始めてください。
周辺機器については以下の記事で解説しています。
ゲーミングPC周辺機器の選び方とおすすめ|初心者向けに全アイテムを徹底解説
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