Windows 11にアップデートした後、定期的にパスワードを変えようと思ったら、直前に変更したパスワードを忘れてしまい、焦ってしまった経験があります。
「あれ?これだっけ?」
「さっき変えたばかりなのに…」
と頭が真っ白になった時の絶望感は、パソコンを使う方なら一度は味わったことがあるかもしれません。
パスワードを忘れてしまうと、パソコンにログインできず、大切なデータや作業にアクセスできなくなってしまいます。
特にWindows 11では、セキュリティが強化された分、以前のバージョンとは異なる、新しいリセット方法も増えています。
しかし、ご安心ください。正しい手順を踏めば、ほとんどの場合は解決可能です。
この記事では、Windows 11でパスワードを忘れてしまった時の状況別の対処法を、パソコン初心者の方でも分かりやすく解説します。
- Microsoftアカウントを使用している場合
- ローカルアカウントを使用している場合
- さらにはPINやパスワードリセットディスクを活用する方法
まで、あらゆる可能性を網羅して解決に導きます。
もう二度とログインできないと焦ることのないよう、ぜひ最後までご覧ください。
Windows 11のパスワードを忘れた時の種類と準備

Windows 11でパスワードを忘れてログインできない場合、まず確認すべきことは、使用しているアカウントの種類です。
Windows 11のアカウントには主に2種類あります。
Microsoftアカウントとローカルアカウントの違い
- Microsoftアカウント
- メールアドレスや電話番号と紐付けられたアカウントです。
- OneDriveなどのクラウドサービスやMicrosoft Office 365、Microsoft Storeなど、Microsoftの各種サービスを利用する際に必要となります。
- インターネット接続が可能であれば、どこからでもパスワードのリセットが行えます。
- 複数のWindowsデバイスで同じアカウントを利用することで、設定やデータの同期が可能です。
- ローカルアカウント
- そのパソコンだけで使用するアカウントです。
- インターネット接続が不要で、PC単体で機能します。
- パスワードを忘れた場合、Microsoftアカウントのようにオンラインでリセットすることはできません。「パスワードリセットディスク」を事前に作成している場合や、セキュリティ質問に回答することで回復できます。
パスワード忘れのトラブルを解決する事前準備
パスワードを忘れてログインできない時は、焦らずに以下を確認しましょう。
- Caps Lockキーの確認: パスワードは大文字と小文字を区別します。Caps Lockキーがオンになっていないか確認してください。
- Num Lockキーの確認: テンキーから数字を入力している場合、Num Lockキーがオンになっているか確認してください。
- キーボードのレイアウト: 日本語キーボードと英語キーボードで一部の記号の配置が異なる場合があります。
- 別のサインインオプション: PINやWindows Hello(顔認証、指紋認証など)を設定している場合は、そちらでサインインを試すことができます。ログイン画面のパスワード入力欄の下に「サインインオプション」と表示されていれば、クリックして変更可能です。
- インターネット接続: Microsoftアカウントのパスワードリセットにはインターネット接続が必要です。有線または無線で接続されているか確認しましょう。
Microsoftアカウントのパスワードをリセットする方法

Microsoftアカウントのパスワードを忘れてしまった場合は、オンラインで簡単にリセットできます。
パソコンからパスワードをリセットする手順
ステップ1: ログイン画面から「パスワードを忘れた場合」を選択
- Windows 11のログイン画面で、Microsoftアカウントが表示されていることを確認します。
- パスワード入力欄の下にある「パスワードを忘れた場合」をクリックします。
ステップ2: 本人確認情報の入力

- 「アカウントの回復」画面がWebブラウザで開きます。
- Microsoftアカウントに登録されているメールアドレスや電話番号の一部が表示されます。「コードを受け取る方法」を選択し、該当する連絡先を選びます。
- セキュリティコードを受け取れるように、表示された電話番号の下2桁やメールアドレスのドメインなどを確認し、入力欄に全てを入力します。
- 「コードの取得」ボタンをクリックします。
ステップ3: セキュリティコードの入力と新しいパスワードの設定

- ステップ2で選択した連絡先に送信されたセキュリティコードを確認します。
- Webブラウザの画面に戻り、「コードの入力」欄に受け取ったコードを入力し、「次へ」ボタンをクリックします。
- 新しいパスワードを設定する画面が表示されますので、「新しいパスワード」と「パスワードの確認入力」の両方に同じパスワードを入力します。覚えやすいが推測されにくい強力なパスワードを作成しましょう。
- 「次へ」ボタンをクリックして完了です。新しいパスワードでWindows 11にログインできるか確認してください。
Microsoftアカウントのパスワードを忘れないためのヒント
- パスワードマネージャーの利用: 複雑なパスワードを安全に管理できるパスワードマネージャーアプリの利用を検討しましょう。
- PINの設定: Windows Hello PINを設定しておけば、パスワードの代わりに数字だけのPINで簡単にサインインできます。パソコンのロック画面から「サインインオプション」でPINを選択し、設定できます。
- Windows Hello(顔認証・指紋認証)の利用: 対応デバイスであれば、顔認証や指紋認証でより安全かつ簡単にログインできます。
- セキュリティ情報の定期的な確認: Microsoftアカウントの回復に使用する電話番号やメールアドレスが最新であるか、定期的に確認しましょう。
ローカルアカウントのパスワードをリセットする方法
ローカルアカウントのパスワードを忘れてしまった場合は、Microsoftアカウントのようにオンラインでリセットすることはできません。
事前の準備があるかどうかで対処法が異なります。
セキュリティ質問を利用してリセットする手順
Windows 11のローカルアカウントのセットアップ時にセキュリティ質問を設定している場合。
その質問に回答することでパスワードをリセットできます。
ステップ1: パスワードリセットのリンクをクリック
- Windows 11のログイン画面で、ローカルアカウントが選択されていることを確認します。
- パスワード入力欄に間違ったパスワードを数回入力すると、「パスワードをリセット」や「パスワードヒントの表示」のようなリンクが表示されますので、そちらをクリックします。
ステップ2: セキュリティ質問に回答
- 設定していたセキュリティ質問が表示されます。質問に対する正しい答えを入力します。
- すべての質問に正しく回答できると、新しいパスワードを設定する画面が表示されます。
- 新しいパスワードを入力し、再度入力して確認し、「次へ」や「完了」をクリックします。
注意: セキュリティ質問の答えを忘れてしまうと、この方法は利用できません。
パスワードリセットディスクを使用する手順
事前に「パスワードリセットディスク」を作成している場合は、それを使用してパスワードをリセットできます。これはUSBメモリなどに作成するものです。
ステップ1: パスワードリセットディスクを挿入
- パスワードを忘れたPCに、作成しておいたパスワードリセットディスク(USBメモリなど)を接続します。
- ログイン画面で間違ったパスワードを入力すると、「パスワードをリセット」というリンクが表示されますのでクリックします。
ステップ2: パスワードリセットウィザードの実行
- 「パスワードのリセットウィザード」が起動します。「次へ」をクリックします。
- ドロップダウンメニューからパスワードリセットディスクが挿入されているドライブを選択し、「次へ」をクリックします。
- 新しいパスワードを入力し、確認のためにもう一度入力します。必要であればパスワードヒントも入力できます。
- 「次へ」をクリックし、「完了」でウィザードを終了します。
重要: パスワードリセットディスクは事前に作成しておく必要があります。パスワードを忘れてからでは作成できません。
最終手段:ローカルアカウントの再作成またはWindowsの再インストール
上記の方法で解決できない場合、最終手段として以下の選択肢があります。
- 他の管理者アカウントからのリセット: もしそのPCに別の管理者権限のローカルアカウントがある場合、そのアカウントでログインし、パスワードを忘れたアカウントのパスワードをリセットまたは変更できます。
- 管理者アカウントでログインします。
- スタートボタンを右クリックし、「コンピューターの管理」を選択します。
- 「ローカルユーザーとグループ」>「ユーザー」を展開します。
- パスワードを忘れたユーザーアカウントを右クリックし、「パスワードの設定」を選択します。
- 新しいパスワードを設定します。
- Windowsの再インストール: この方法は最終手段です。Windowsを初期状態に戻すか、クリーンインストールを行います。個人のデータも含めてすべてが削除される可能性が高いため、事前のバックアップが非常に重要です。
- 「このPCを初期状態に戻す」機能は、データを保持するオプションもありますが、パスワード問題が深刻な場合には有効でないこともあります。
PINやWindows Helloを活用して安全にサインイン

パスワードの管理は複雑で、忘れてしまうことも珍しくありません。
Windows 11では、より簡単で安全なサインイン方法としてPINやWindows Helloが提供されています。
これらを活用することで、パスワード忘れのリスクを大幅に減らすことが可能です。
PINの設定方法
PINは、数字と記号、大文字・小文字を含む複雑なパスワードとは異なります。
数字のみで構成される4桁以上の暗証番号です。
デバイスに紐付けられており、オンラインで盗まれるリスクが低いと言われています。
手順:
- スタートボタンをクリックし、「設定」を開きます。
- 「アカウント」>「サインインオプション」を選択します。
- 「PIN(Windows Hello)」の項目を探し、「セットアップ」または「変更」をクリックします。
- 現在のMicrosoftアカウントのパスワードを入力し、新しいPINを設定します。
Windows Hello(顔認証・指紋認証)の設定方法
Windows Helloは、生体認証を利用したサインイン方法です。
対応するハードウェア(顔認証カメラや指紋リーダー)が必要ですが、一度設定すればパスワード入力なしで簡単にログインできます。
手順:
- スタートボタンをクリックし、「設定」を開きます。
- 「アカウント」>「サインインオプション」を選択します。
- 「顔認識(Windows Hello)」または「指紋認証(Windows Hello)」の項目を探し、「セットアップ」をクリックします。
- 画面の指示に従って、顔や指紋を登録します。登録時にPINの設定も求められることがあります。
その他のパスワード忘れ対策と注意点
パスワードリセットディスクの作成方法(ローカルアカウント向け)
ローカルアカウントを使用している場合、パスワードを忘れた時に非常に役立つのが「パスワードリセットディスク」です。USBメモリなどに作成しておくことで、パスワードを知らなくても新しいパスワードを設定できるようになります。
注意: パスワードを忘れる前に作成しておく必要があります。
手順:
- USBメモリをパソコンに接続します。
- スタートボタンをクリックし、検索欄に「パスワードリセットディスク」と入力し、「パスワードリセットディスクの作成」を選択します。
- 「パスワードディスクの作成ウィザード」が起動しますので、「次へ」をクリックします。
- パスワードリセットディスクを作成するドライブ(USBメモリ)を選択し、「次へ」をクリックします。
- 現在のローカルアカウントのパスワードを入力し、「次へ」をクリックします。
- 「パスワードリセットディスクの作成が完了しました」と表示されたら「完了」をクリックします。
作成したディスクは安全な場所に保管しましょう。
パスワード管理のベストプラクティス
- 使い回しをしない: 異なるサービスで同じパスワードを使い回すのは非常に危険です。一つのサービスから情報が漏洩すると、すべてのアカウントが危険にさらされます。
- 複雑なパスワードを設定: 大文字、小文字、数字、記号を組み合わせた、長く複雑なパスワードを作成しましょう。
- 定期的な変更: 定期的にパスワードを変更することは推奨されますが、変更したパスワードを忘れないように注意しましょう。私の体験のように、直前の変更で忘れてしまうこともあります。
- 二段階認証(多要素認証)の活用: パスワードに加えて、スマートフォンのアプリやSMSで送られるコードなど、二段階認証を有効にすることでセキュリティを大幅に強化できます。
トラブル発生時の問い合わせ先
上記の方法を試してもパスワードの問題が解決しない場合は、以下のサポート窓口に問い合わせを検討しましょう。
- Microsoft サポート: Microsoftアカウントに関する問題は、Microsoftの公式サポートページから問い合わせることができます。チャットや電話でのサポートも提供されています。
- Microsoft サポートのウェブサイト: https://support.microsoft.com/
- PCメーカーのサポート: PCがプリインストール版のWindowsで、ローカルアカウントの問題が解決しない場合は、購入したPCメーカーのサポートに相談することも可能です。リカバリの方法などを教えてくれる場合があります。
Windows 11のパスワード忘れもこれで安心!
Windows 11のパスワードを忘れてログインできない状況は、誰にでも起こりうることです。
私自身も経験したように、突然の事態に焦ってしまう気持ちはよく分かります。
しかし、この記事で解説した手順を一つ一つ試していけば、ほとんどの場合は解決できるはずです。
重要なポイントを改めてまとめましょう。
- Microsoftアカウントの場合:オンラインの「アカウントの回復」ページからメールや電話番号で本人確認を行い、新しいパスワードを設定できます。
- ローカルアカウントの場合:事前に設定したセキュリティ質問に回答するか、作成済みの「パスワードリセットディスク」を使用してリセットします。
- 予防策として:PINやWindows Helloを活用することで、パスワードの入力頻度を減らし、より安全かつ簡単にログインできるようになります。パスワードリセットディスクの事前作成も有効です。
パソコンは私たちの日常に不可欠なツールです。
セキュリティは大切ですが、パスワード忘れで使えなくなってしまっては元も子もありません。
今回ご紹介した情報が、Windows 11をより安全に、そして快適に利用するための一助となれば幸いです。
もし、この記事を読んでも解決しない問題が発生した場合は、迷わずMicrosoftやPCメーカーのサポートを利用してください。
関連リンク
- Microsoft Windows 11 Enterprise 公式: https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/windows/windows-11-enterprise
- Microsoft 365 Enterprise 公式: https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/enterprise
- Microsoft Learn (Intune): https://learn.microsoft.com/ja-jp/mem/intune/
- Microsoft サポート (ライフサイクルポリシー): https://support.microsoft.com/ja-jp/lifecycle