「マルウェア」や「ウイルス」という言葉は聞いたことがある。
だけど、実際には何がどう違うの?
パソコンを使っていると、誰もが一度はこのような疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。
一見すると同じように見えるこれらの脅威ですが、実はそれぞれ異なる仕組みや目的を持っており、適切な対策も違います。
知人の会社では、ある日突然パソコンのファイルが全て暗号化され、「身代金」を要求されるランサムウェアの被害に遭いました。
この事例から、マルウェアの種類を知り、それぞれの特徴を理解することがいかに重要であるかを痛感しました。
今回の記事では、パソコン初心者の方でもマルウェアの種類を簡単に理解できるように、代表的なマルウェアの特徴や被害事例、そしてそれぞれの種類に応じた対策方法を分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読めば、マルウェアの脅威に備えるための知識が身につき、安心してパソコンを利用できるようになります。
マルウェアとは?知っておきたい基本

マルウェアとは「malicious software(悪意のあるソフトウェア)」を組み合わせた造語で、コンピューターに不正な動作をさせるためのプログラムの総称です。
ウイルスやランサムウェアなど、さまざまな種類があります。
まずは、これら基本的な知識を身につけましょう。
マルウェアとは?初心者向けに種類から感染経路、効果的な対策まで徹底解説
ウイルスとマルウェアの違い
マルウェアとウイルスは、同じように使われることが多いですが、厳密には意味が異なります。
マルウェアは悪意のあるプログラムの総称を指し、ウイルスはそのマルウェアの一種です。
例えるなら、ウイルスは「風邪」で、マルウェアは「病気全体」を指すようなものです。
風邪以外にもインフルエンザや胃腸炎などがあるように、マルウェアにもウイルス以外に多くの種類が存在します。
マルウェアの主な感染経路

マルウェアがパソコンに侵入する経路は多岐にわたります。
その中でも特に注意が必要な主な経路を以下に紹介します。
電子メールの添付ファイル
スパムメールやフィッシングメールに添付されたファイルを開くことで感染します。
不正なWebサイト
悪意のあるサイトを閲覧しただけで、気づかないうちにマルウェアをダウンロードさせられることがあります。
ソフトウェアの脆弱性
OSやアプリケーションのセキュリティ上の弱点を悪用して侵入します。
不審な広告
Webサイトに表示されるポップアップ広告やバナー広告をクリックすることで、不正なサイトに誘導されたり、マルウェアをダウンロードさせられたりします。
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マルウェアの種類とそれぞれの特徴

ここでは、マルウェアの代表的な種類を一覧で解説します。
それぞれの特徴を理解することで、感染の兆候にいち早く気づき、適切な対策を講じることができます。
ランサムウェア(Ransomware)

ランサムウェアは、感染したパソコンのファイルやデータを勝手に暗号化し、その復旧と引き換えに金銭(身代金)を要求する悪質なプログラムです。
被害者は、支払いを行わないとデータが二度と使えなくなる恐れがあるため、非常に深刻な脅威となります。
主な手口
不審なメールの添付ファイルや悪意のあるサイトからのダウンロードを通じて侵入することが多いです。
被害事例
大手企業がランサムウェア攻撃を受け、業務システムが停止し、顧客の機密情報が窃取された事例が近年増加しています。
対策のポイント
定期的なバックアップを別のデバイスに保存しておくことが最も有効な対策です。
これにより、万が一暗号化されてもデータを復旧させることが可能です。
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ウイルス(Virus)

コンピューターウイルスは、他のプログラムやファイルに自己複製して増殖する機能を持つマルウェアの一種です。
感染したファイルを誰かに送信してしまうと、その相手のパソコンにもウイルスを広めてしまう可能性があります。
主な手口
感染した実行可能ファイルや電子メールの添付ファイルを開くことで侵入します。
被害事例
感染したファイルが破壊されたり、パソコンの動作が極端に遅くなったりする被害が発生します。
対策のポイント
信頼できるウイルス対策ソフトを常に最新の状態にアップデートしましょう。
不審なファイルは開かないことが重要です。
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トロイの木馬(Trojan Horse)

トロイの木馬は、ユーザーが役に立つプログラムだと信じ込んでインストールさせることで侵入するマルウェアです。
一見すると無害に見えるため、気づかずにインストールしてしまうケースが非常に多く、非常に危険です。
主な手口
無料のゲームやソフトウェア、偽のセキュリティソフトに偽装してダウンロードを誘導します。
被害事例
トロイの木馬を介してパソコンが遠隔操作され、個人情報が盗まれたり、他のマルウェアがインストールされたりします。
対策のポイント
- 信頼できないサイトからソフトウェアをダウンロードしないこと
- ダウンロード前にレビューや提供元の情報を確認すること
が必要です。
スパイウェア(Spyware)

スパイウェアは、ユーザーの活動を監視し、個人情報を盗み出すことを目的としたマルウェアです。
インターネットの閲覧履歴や入力したパスワード、クレジットカード番号などを記録して攻撃者に送信します。
主な手口
無料ツールやアプリに組み込まれていることが多く、気づかないうちにインストールされます。
被害事例
盗まれた個人情報が不正アクセスやフィッシング詐欺に悪用され、金銭的な被害に繋がる可能性が高いです。
対策のポイント
定期的にウイルススキャンを行い、不正なプログラムが動作していないか確認しましょう。
また、怪しいサイトで個人情報を入力しないよう注意が必要です。
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ワーム(Worm)

ワームは、ウイルスと同じく自己複製する能力を持ちます。
他のファイルを宿主として利用せず、ネットワークを介して単体で増殖するのが特徴です。
メールの添付ファイルや社内ネットワークを通じて、次々と感染を広げていきます。
主な手口
電子メールの添付ファイルや、ネットワークの脆弱性を悪用して侵入します。
被害事例
大量のワームがネットワーク上で増殖し、通信速度の低下やシステム停止などの大きな影響を引き起こします。
対策のポイント
OSやアプリケーションのアップデートを常に行い、セキュリティの脆弱性をなくすことが最も効果的です。
知っておきたいその他のマルウェアの種類
主要なマルウェア以外にも、さまざまな手口で私たちを狙うマルウェアが存在します。
これらについても理解を深めておきましょう。
アドウェア(Adware)
アドウェアは、パソコンに広告を強制的に表示させるプログラムです。
悪質なものは、ユーザーの閲覧履歴を収集してターゲット広告を表示したり、不正なサイトに誘導したりします。
主な手口
無料アプリやソフトウェアに同梱されてインストールされることが多いです。
対策のポイント
アプリをインストールする際、付随するソフトウェアがないか確認します。
不要なチェックボックスは外しておきましょう。
キーロガー(Keylogger)
キーロガーは、ユーザーがキーボードで入力した内容をすべて記録するマルウェアです。
パスワードやクレジットカード番号などを盗むことを目的としています。
主な手口
他のマルウェアの一部としてインストールされることが多いです。
対策のポイント
パスワードマネージャーの使用や、二段階認証を有効にすることが効果的です。
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バックドア(Backdoor)
バックドアは、攻撃者が後からシステムに不正にアクセスするための「裏口」を作ってしまうマルウェアです。
一度バックドアを仕込まれると、いつでも自由にパソコンを操作されてしまいます。
主な手口
他のマルウェアに組み込まれていたり、ソフトウェアの脆弱性を突いて設置されます。
対策のポイント
信頼できるセキュリティソフトを使い、不正な通信がないか常に監視することが重要です。
スケアウェア(Scareware)
スケアウェアは、「あなたのパソコンはウイルスに感染しています!」といった嘘の警告画面を表示させ、偽のセキュリティソフトを購入させようとする詐欺プログラムです。
主な手口
ポップアップ広告などで偽の警告を表示し、ユーザーを不安にさせて誘導します。
対策のポイント
偽の警告に惑わされず、表示された画面のボタンはクリックしないようにしましょう。
最新マルウェア脅威ランキングと対策

近年、マルウェアの手口はさらに巧妙化し、特にAIの悪用やサプライチェーン攻撃など、新たな脅威が増加しています。
ここでは、2025年に注意すべきマルウェアとその対策をランキング形式で紹介します。
第1位: AIを活用したランサムウェア
AIを活用したランサムウェアは、従来よりも自動的かつ巧妙な攻撃を行います。
AIが感染先のシステムを分析し、最も重要なデータを特定して暗号化するため、被害が甚大になる可能性が高いです。
また、フィッシングメールの文章をAIが自動生成し、より自然で気づかれにくい手口でユーザーを騙そうとします。
対策のポイント
定期的なデータバックアップはもちろん、AIを活用した最新のウイルス対策製品を導入することが有効です。
これにより、AIが生成した不審なファイルを検知しやすくなります。
第2位: 標的型攻撃によるトロイの木馬
特定の企業や組織を狙った標的型攻撃に、トロイの木馬が利用されるケースが増加しています。
攻撃者は、組織内の社員になりすましてメールを送信したり、業務に関連するファイルを装ったりして、マルウェアを侵入させます。
対策のポイント
組織内で情報セキュリティに関する教育を徹底しましょう。
不審なメールや添付ファイルは開かないよう注意喚起を行うことが不可欠です。
第3位: IoT機器を狙ったワーム
IoT(モノのインターネット)機器の普及に伴い、これらを狙ったマルウェアも増加しています。
ワームは、ネットワークにつながったセキュリティカメラやルーターの脆弱性を悪用し、感染を広げていきます。
対策のポイント
IoT機器のパスワードを初期設定のままにせず、複雑なものに変更しましょう。
また、ファームウェアを常に最新の状態にアップデートすることが重要です。
感染を防ぐための総合的な対策

マルウェアの種類に関わらず、共通して有効な対策をまとめました。
これらの対策を日頃から行い、感染リスクを最小限に抑えましょう。
信頼できるセキュリティソフトの導入
マルウェアの検知・駆除に特化したウイルス対策ソフトを導入することが、最も基本的な対策です。
常に最新の定義ファイルに更新し、リアルタイムでの保護を有効にしておきましょう。
多くの製品は、さまざまな種類のマルウェアに対応しています。
マルウェア感染を自動で検知し、未然に防ぐ機能も備えています。
OSとソフトウェアの定期的なアップデート
OSやソフトウェアのアップデートには、セキュリティ上の脆弱性を修正する目的が含まれています。
アップデートを怠ると、マルウェアに侵入されるリスクが高まります。
通知が来たら速やかに適用しましょう。
不審なファイルやサイトへの注意
マルウェアの侵入経路として最も多いのが、不審なメールやサイトです。
不審なメール
差出人や件名に心当たりのないメール、特に添付ファイルやURLリンクが含まれている場合は、安易にクリックしないようにしましょう。
不正なWebサイト
「ウイルスに感染しています!」
などの偽の警告を表示するサイトにはアクセスしないようにしましょう。
パスワードの適切な管理
パスワードの使い回しは、アカウントの不正アクセスに繋がる大きな原因です。
サービスごとに異なる、複雑なパスワードを設定し、二段階認証を積極的に利用しましょう。
対策が不十分だった事例と解決策

私が知る知人の会社で実際に起きた事例から、マルウェア感染後の解決策を学びましょう。
この事例から、事前の対策がいかに重要かが再認識できます。
知人の会社がランサムウェアに感染した事例
知人の会社では、社員の1人が取引先を装ったメールの添付ファイルを開いてしまい、ランサムウェアに感染しました。
感染したパソコンから社内ネットワーク全体にマルウェアが広がり、多くのサーバーやパソコンのデータが暗号化されてしまったのです。
問題
業務システムが停止し、重要な顧客データや業務資料にアクセスできなくなりました。
対応
すぐに専門のITサポートに連絡し、感染したネットワークからの切り離しを行いました。
感染後の解決プロセス
専門家の指示に従い、知人の会社は以下のプロセスで復旧を行いました。
感染機器の特定と隔離
ネットワークにつながっているすべての機器をオフラインにし、感染した端末を特定しました。
マルウェアの駆除
ウイルス対策ソフトを使って、感染した端末からマルウェアを完全に削除しました。
システムの復旧
定期的に取得していたバックアップデータから、暗号化されたファイルを復旧させました。
バックアップがなければ、すべてのデータが失われるところでした。
再発防止策の策定
この経験から、全社員を対象とした情報セキュリティ教育を実施し、不審なメールへの対応方法やパスワード管理の重要性を徹底しました。
この事例からわかるように、マルウェアの種類や手口を知るだけでなく、事前のバックアップや社員への教育など、日頃からの包括的な対策がいかに重要かということが分かります。
よくある質問と回答
ここでは、マルウェアの種類について、一般の方が抱きやすい疑問にQ&A形式で回答します。
Q1: 無料のウイルス対策ソフトでも十分ですか?

A1: 無料のソフトでも基本的なウイルス検知機能は備わっています。
しかし、有料版に比べて機能が限定的な場合が多いです。
例えば、ランサムウェア対策やファイアウォール機能が有料版のみのことがあります。
より高いレベルの保護を求める場合は、有料版の導入も検討してみましょう。
Q2: 感染したかどうかは、どうすれば分かりますか?

A2: パソコンの動作が遅くなったり、身に覚えのないポップアップ広告が表示されたりするなどの兆候がないか確認しましょう。
また、定期的にウイルス対策ソフトでスキャンを行うことが、感染の有無を確認する最も確実な方法です。
Q3: スマートフォンもマルウェアに感染しますか?

A3: はい、スマートフォンもマルウェアの脅威に晒されています。
特に、正規のアプリストア以外からアプリをダウンロードしたり、不審なSMSに記載されたURLをクリックしたりすると、感染する可能性が高まります。
マルウェアの種類まとめ

この記事では、マルウェアの多様な種類とそれぞれの特徴、そして具体的な対策方法を解説しました。
マルウェアの脅威は日々進化し、巧妙化しています。
しかし、その種類や手口を理解し、適切な対策を講じることで、被害を未然に防ぐことが可能です。
この記事が、あなたのパソコンをマルウェアから守るための一助となれば幸いです。
外部参考リンク